CB無線周波数に新製品で現在「市民ラジオ」ブームが再燃

1961年に制度化され、既に50年以上の歴史を誇る、“元祖ライセンスフリー無線”といえるのが市民ラジオ（Citizens Band Radio、CB無線）です。CB無線の周波数は27MHz帯に8チャンネル割当てられており、出力は0.5W。CB無線のアンテナは2m以下で、交換はできません。CB無線周波数は新製品登場で現在「市民ラジオ」ブームが再燃しています。

CB無線のコールサインが現在も引き継がれる

1970年代後半～1980年代後半にかけて、日本では中高生を中心にCB無線ブームが到来。ソニーやパナソニックといった大手家電メーカーからも多くのCB無線機が発売され、アマチュア無線ショップをはじめ、百貨店などでも販売されていました。

かつてCB無線は、電波監理局（当時）に無線局の開局申請をして無線局免許状の交付を受ける必要がありました。CB無線は開局申請をすることで自分だけのコールサインが発給されたのです。

このCB無線の免許制度は1983年に廃止されたのですが、現在も当時のコールサイン書式に習い、地名＋欧文＋数字（例：チヨダRL30）の形式で交信するのが、フリラー（ライセンスフリー無線愛好者）の間では伝統として引き継がれています。

CB無線機が周波数規制で使用できなくなる

CB無線は免許制が廃止されたことで、気軽にまさに市民ラジオとして運用できるようになりました。これでよりCB無線は一層の人気が出るかと思いきや、さまざまな事情によりブームは沈静化していきます。違法CB無線が横行したこともありました。

そんな中、2000年代になると、1度離れたベテラン世代を中心に、CB無線を再び運用する局がジワジワと増加。イッキにCB無線ブーム再燃！…かと思いきや、そう簡単ではありません。

2005年、無線設備規則の一部改正により、本来出す必要のない周波数で発信する「スプリアス電波」に関する規制のため、旧技術基準適合証明を受けたCB無線の無線局は、2022年11月30日に使用できなくなることになりました。さらに、唯一生産し続けていたソニーのCB無線機「ICB-87R」も2006年に製造終了に。再ブームを阻むかのように、CB無線を取り巻く環境はなかなか厳しいものでした。

CB無線の周波数廃止を防衛するため新製品

しかし、フリラーはその困難にも立ち向かいます。有志が既成品を改良、または基板から新設計し、新スプリアス基準を満たすCB無線を製作。CB無線の周波数が廃止とならないよう市民ラジオのバンド防衛を目指すようになったのです。

そして2016年、約20年ぶりにCB無線の“新製品”となる「SR-01」が、静岡の計測機器メーカー・サイエンテックスより発売。その後、同社のエンジニアが独立して設立されたメーカー・ポラリスプレシジョンよりCB無線機「Blackbird」がリリースされました。

さらには兵庫の西無線研究所もハンディ型CB無線機「NTS111」の開発をスタートするなど、ホットな話題が続きます。2019年現在、CB無線の勢いは止まっていません。

CB無線の新製品「NTS111」が2019年6月に発売

CB無線機の開発をスタートした西原無線研究所は、アマチュア無線や業務用無線機器では有名な老舗メーカー。同社では、CB無線機に関する需要を察知し、2018年11月にTwitterで「NTS620のようなCBトランシーバーを作ったら、需要有るかなあ…？」とツイート。するとフリラーたちは即座に反応し、西無線研究所ではその声に応えてCB無線機の開発をスタートしたのです。

そして2019年6月中旬、新技術基準適合証明対応のCB無線のハンディ機「NTS111」が発売されました。CB無線の新製品の価格は10万円を切る税込み88,020円。小ロットのCB無線機の新製品としては、驚異的な価格といえます。CB無線の新製品には、ACアダプタ・電池ボックス・ハンドマイクも付属しており、必要な周辺機器が揃っているのも魅力です。

CB無線の新製品は、液晶ディスプレイではなくLED式のカラフルなSメーターを搭載し、ボディは汎用のケースを使用。コストを抑えるところは抑えつつも、1,450mmのロッドアンテナを装備するなど、CB無線の新製品として大事なツボはしっかりと押さえた設計です。

CB無線に新製品で現在「市民ラジオ」ブームが再燃

CB無線の新製品を運用して分かった音質の良さ

このアンテナの長さはCB無線機にしては短めですが、本格的な運用にも応えてくれています。CB無線機として、十分合格点といっていいでしょう。

CB無線の新製品の運用して分かったのが、音質の良さ。AM本来の柔らかい変調が特徴となっており、NTS111で運用している局の声はイッパツで分かるほどです。また、CB無線の新製品は可変フィルターは非搭載ながら、弱い信号も埋もれずしっかりと拾い上げてくれます。

長時間AMノイズを受信する必要がある、Eスポ交信を待ち受けするような場面でも、CB無線の新製品はソフトな音質ゆえ耳への疲労は最低限です。CB無線の新製品の電源は、単3形アルカリ乾電池×4本。乾電池を入れてもCB無線の新製品の重さは400g程度。登山などアクティブな移動運用時には、このCB無線の新製品のサイズと重さは有利でしょう。