在日米軍が「NHK受信料」支払いを拒否する理由
NHK受信料や受信契約について、先日大きくニュースで取り上げられた話題があります。それは、在日米軍基地内はNHKが受信契約を取りにいけないというもので、当然ながらNHK受信料も支払われていません。しかし、仮にNHK集金人が在日米軍基地内へ入れたとしても、実際にNHK受信契約を結んでもらえるかどうかは微妙なのでした。
NHK集金人は米軍基地へ入れない
放送法には、NHKを受信できる状態にあるテレビを設置した人はNHKと受信契約を結ばなくてはならないといった内容の規定があります。しかし、テレビを持ちながらNHK受信料を払わずに国内に住み、NHK集金人からの訪問もないという人が数万単位で存在。それは、在日米軍基地内に住む米軍人・軍属です。
在日米軍基地内の米軍人がNHK受信契約を結んでいない理由として大きいのが、日本とアメリカが結ぶ条約「日米地位協定」の存在で、同条約では米軍基地内は原則非課税と定められてます。そして、在日米軍側はNHK受信料もこの「税金」にあたるという理由で、支払いを拒否し続けているのです。
そして、より実質的な問題として、そもそもNHK集金人が米軍基地内に立ち入ることができないという点があります。このことは国会でもたびたび問題とされていて、現在開会中の通常国会でもNHK会長がこのことを答弁。ニュースでも大きく取り上げられました。
NHK放送の再送信は行われていない
とはいえ、仮にNHK集金人が米軍基地内への立ち入りを認められたとしても、実は米軍人・軍属へNHK受信契約を結ばせるハードルはまだ残ります。それは、在日米軍基地内に住む米軍人・軍属側が、放送法に定めるようなNHKのテレビ放送を受信可能なテレビを設置している必要があるためです。
現在、在日米軍基地内でテレビを視聴する際は、CATVを利用する方法が一般的です。このCATVには、米軍自身が持つ部局「AFN(American Forces Network)」が独自に編成する無料放送「AFN TV」のみ視聴する方法と、有料で多チャンネルのCATV会社と契約する方法の2種類があります。
このうち、AFN TVについてはニュース・スポーツ・映画などのチャンネルが用意されていますが、いずれのチャンネルもNHK放送の再送信は行われていません。そこで、AFNだけを見ている米軍人・軍属はNHKを受信できるテレビを設置しているとはいえず、日米地位協定と無関係にNHK受信契約の対象外となる可能性が高いのです。
NHK受信契約の対象とならない可能性
有料のCATVについては、本土の米海軍・海兵隊基地向けの「AMERICABLE」、本土および沖縄の陸軍・空軍基地向けの「Allide Telesis」、沖縄の基地全般をカバーする「MBC」の3社がサービス提供中。このうち、NHKのテレビ放送を受信できるのはMBCとAllide Telesisのフルパッケージプランのみです。
つまり、横須賀や岩国といった本土の米海軍・海兵隊の基地に関しては、有料CATVを契約したとしてもNHKのテレビ放送は受信できないため、NHK受信契約の対象とならない可能性が高いといえます。また、Allide Telesisのフルパッケージプランは月50USドル近い利用料が必要で、契約する人は少数派となりそうです。
もちろん、在日米軍基地内に住みながら自分でアンテナを設置して日本方式のテレビを購入すれば、NHKのテレビ放送を視聴可能。とはいえ、そこまでして在日米軍基地内で日本のテレビ放送を視聴したいという人は、家族に日本人がいるなど特別な事情がある米軍人・軍属に限られるでしょう。
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ラジオライフ編集部
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