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防災無線の受信テクニックを身につけるべき理由

集中豪雨など局地的に大きな被害をもたらす風水害は全国で発生しています。危機が迫っている時は無線で情報収集。都道府県や自治体が使う防災無線は災害時の重要な情報源です。防災無線は平時の交信が少なく地味な存在ですが、突然の災害に対応するためにも受信するテクニックは身につけておく必要があります。


防災無線の受信テクニックを身につけるべき理由


防災無線の基本は区市町村の無線

台風情報や被災後の情報はテレビやラジオでも伝えられますが、それらは被災していない地域に住む視聴者のためであって、被災者に向けられたものではありません。被災者が欲しいのは局地的な濃い情報。それを得るために防災無線を聞くのです。

地元の防災無線からは災害対策本部に状況を報告する通話が次々と受信できます。しかし、現場からの生の情報のため、多少の混乱や錯綜があるのも事実。有効な情報を取捨選択する必要があるのですが、情報の速さと濃さは1番です。

防災無線を大別すると、区市町村役場が使う無線と都道府県庁に割り当てられた無線の2つになります。さらに、両者とも固定系と移動系に分けられるのが特徴。これらの無線システムを自治体は災害時の備えだけにしておくはずはなく、日常の行政業務にも使われます。そのため正確には「防災行政無線」と呼ばれています。

防災無線を受信する際に基本となるのが区市町村の役所が使う無線で、固定系の「同報無線」と「移動系」があります。「同報無線」は、役所や公園など公共の場所に放送塔を立て、そのスピーカーから住民に各種情報を放送するシステムです。


防災無線の移動系は役所の業務無線

防災無線の同報無線は相互に連絡を取り合う無線ではなく、一斉放送であることが特徴。流される情報は役所から放送塔に向かって無線送信されるので、受信できます。しかし、災害時に放送塔にトラブルがあると避難情報などを聞き逃してしまうこともあるので、受信機で直接受信することには大きな意味があるのです。

同報無線は平時は夕方になると無線システムのチェックを兼ねて、毎日チャイムやメロディを流している区市町村が多いため、日常的に受信できます。

一方の防災無線の「移動系」は役所が使う業務無線です。役所に基地局を置き、車載無線機やハンディ無線機を持った移動局と交信します。地震発生時には被害状況、台風が接近している時には河川の水位など、警戒に出動した職員からの報告が24時間ひっきりなしに聞こえてきますので、情報収集には必聴の無線です。

しかし、防災課を筆頭に建設課や道路課、水道課など、さまざまな部署が1つの周波数に開局してくるため、聞き分ける技量が必要となります。また、近隣の区市町村と連携が取れるように、全国共通波として466MHz帯が割り当てられており、こちらも要チェックの周波数です。


防災無線の移動系で日常的な連絡

防災無線の移動系は災害時にしか聞こえてこないように思われますが、区市町村の総合的な無線システムであるため、水道課や建設課、道路課、町営バスなどが日常的な業務連絡に使うことが多々あります。そのような場合は8~18時までの勤務時間が受信できる時間帯になります。

また、山間部や管轄の広い地域では中継波を使っているので、広範囲で受信することが可能です。しかし、平野部の自治体を中心に260MHz帯のデジタル化が進んでおり、こちらは受信できません。

人口の多い政令指定都市には同報無線と移動系に加えて、市役所とその出先機関とを結ぶ「政令指定都市専用防災波」という専用の無線回線が割り当てられています。複信式のMCA方式を採用しており、内線電話のように使われます。

交信がない時は“ピー”という空線信号を発していますので、ピー音が受信できれば受信可能なエリアにいるということになります。最近は設備更新の際にデジタル化されていますが、アナログ回線を廃局することなく、バックアップ回線として保持している自治体もあるようです。

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