マル暴刑事からコワモテが減っている理由とは?
マル暴刑事は一見するとどちらが暴力団員か?と見紛うほどコワモテ揃いなのが特徴です。なぜ、彼らはヤクザとファッションが似てくるのでしょうか。退官まで30年以上、警視庁組織犯罪対策部で捜査4課畑を歩んだ元警部・江藤氏(仮名)に、マル暴刑事のファッション事情について聞きました。

マル暴と暴力団は元々趣味が近い
「我々は同じ穴のムジナなんです。かつてはパンチパーマにヒゲ、サングラスなんてザラでヤクザとは元々、趣味が近いんです。私も学生時代は体育会系でシゴかれ、ヤクザとの喧嘩も日常茶飯事でしたから」と、マル暴と暴力団の共通点を話します。
「警察官になってからは、ヤクザが風を切って歩いていようものならキッチリシメてました。しかし、1992年の暴対法(暴力団対策法)以来、ひと目でヤクザと分かる連中が減りましたね」とのことです。
「今では半グレや企業に入り込むビジネスマン風のヤクザなど、一般人と区別が付きません。マル暴刑事もコテコテな見た目の者はだいぶ減りましたが、やはりナメられないように“ビッ”とするようには心がけています」といいます。
マル暴刑事に求められる情報捜査
マル暴刑事の中には、パンチ・坊主・ヒゲなど一般的な警察の服制規程から大きく外れている者もいる一方、江藤氏が指摘するように、公安警察などのようにスマートな服装の者も多いのが現状。それには、捜査方法の変化もあるといいます。
「昔は組関係のエス(スパイ)と会うために、配慮してヤクザのような格好をしている面もありました。その時代は、組事務所への出入りなんて当たり前。よく言われる『昼メシを食べさせろ』なんていう利益供与に当たることはしませんでしたが、ヤツらが何かしようという動きをそこで察知していました」といいます。
「今は暴力団と警察の間の関係が希薄になってきており、組事務所にも入れなくなりつつあります。公安警察型の情報捜査が求められてきているのです」と、少々寂しそうに語る江藤氏でした。(イラスト/シライカズアキ)
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