捜査一課は刑事部のエリートでなく本当は二課?公安部外事課?
警察の刑事部には「捜査一課」のほかに「捜査二課」と「捜査三課」、そして「捜査四課」が存在。捜査二課は「知能犯」、捜査三課は「盗犯」、捜査四課は暴力団等の取り締りを担当します。このうち、捜査一課はエリートコースではなく、本当は大きな経済事件を担当する知能犯が担当の捜査二課。歴代警視総監も輩出する警察のエリートコース、捜査二課の仕事を見ていきます。
エリートコース捜査二課と捜査一課の違い
警察のエリートコースといわれる捜査二課の担当する知能犯とは、詐欺や通貨偽造、贈収賄といった金銭・経済・企業犯罪を指し、さらに選挙違反も捜査二課の担当。もちろん、いまだに世間を賑わせている振り込め詐欺などの特殊詐欺を担当しているのも、警察のエリートコースといわれる捜査二課です。
警察エリートコースの捜査二課が担当する知能犯が捜査一課が担当する強行犯と大きく違う点は、犯罪が綿密な計画に基づいて行われる点。犯罪計画の中には、犯行が発覚した時の対処法も盛り込まれているケースがほとんどです。
例えば振り込め詐欺の場合、電話をかける「かけ子」、口座から現金を引き出す「出し子」、現金を受け取る「受け子」と呼ばれる役目の上に、ピラミッド式で指示を与えたり計画を練る上部の人間が存在します。末端の人間を逮捕しても、完全な事件の解決には結びつきません。
捜査一課や公安部外事課はエリートコースでない
警察エリートコースの捜査二課の扱うそのほかの詐欺においても同様です。一様に組織的に行動するため、尻尾を掴むことのできる相手は限られてきます。これは贈賄や選挙違反にもいえることで、実際には上の人間の指示に従ったにもかかわらず証拠が不十分で、ホンボシまで捜査が届かないということもありえるわけです。
このため、事件の完全な解決のために警察エリートコースの捜査二課の刑事には緻密な捜査が求められます。実行犯を検挙しても、それで一件落着というわけにはいきません。さらに、詐欺や通貨偽造は日を追うごとに巧妙さが増しています。
詐欺においても、架空請求詐欺や融資保証詐欺、還付金詐欺といった新たな手法が続々と登場。通貨偽造も、最近では高精度のスキャナーとプリンターで、素人でもそれなりのニセ札を作ることが可能です。
これらに対応するためには過去の経験に頼ることができず、警察エリートコースの捜査二課の刑事は常に新たな知識と情報の取得が必要となります。これが警察の花形である捜査一課よりも、また国際テロ防止の最前線に立つ公安部の外事課よりも、捜査二課がエリートコースと呼ばれる所以。地道さと緻密さで事件の解決に挑んでいます。
警察庁キャリアの出世エリートコースは警務部
刑事部の捜査一課や二課とも違い、また公安部外事課とも異なる警察の出世エリートコースといわれる部署があります。捜査の最前線ではなく内勤部署でありながら、警察内部では配属希望者が殺到しているのが「警務部」です。
警察内で総務や広報、会計を担当するのが警務部ですが、警察庁キャリアの警察官僚の出世エリートコースといわれています。警務部を警視庁や大阪府警などのように総務部として独立させて設けているところもあります。事務を担当する内勤部署ということもあり、現場志向の強い警察官には出世エリートコースどころか敬遠されているイメージを持つ人も多いでしょう。
しかし、警務部は警察内では配属希望者が殺到する部署。その理由は、警察官の出世に影響するからです。というのも、ノンキャリアの警察官が昇任して出世エリートコースを進むには、年に1回の昇任試験に合格する必要があります。
警察官が出世エリートコースを進むのに必要な昇任試験の受験資格は、警視庁であれば巡査部長の試験を受けるのに大卒で1年ほど、高卒なら4年以上の勤務実績が必要です。警部補の試験なら巡査部長として、大卒で1年、高卒で3年以上の実績が必要になります。さらに警部なら、採用区分に関係なく警部補として4年以上の実績が必要となるのです。
警察官僚の出世エリートコースは人事課
つまり、ノンキャリアが警部補まで出世エリートコースを進むには、その度に昇任試験が必要になるということ。しかし、多忙な部署にいては警察官が出世エリートコースを進むための試験勉強もままなりません。その点、警務部はほぼ定時勤務。休日出勤もまれなので、警察官が出世エリートコースを進むための試験勉強に費やす時間が確保できるというわけです。
加えて、警務部は「警察の頭脳」とまで呼ばれている部署なので、配属されるのは優秀とみなされる警察官が多く、出世エリートコースとしてだけでなく人脈作りにも有利に働きます。
そんな警務部の中でも、特に出世エリートコースといわれているのが人事課。人事は組織にとって重要なポジションを占めるため、警察庁から派遣されたキャリア、いわゆる警察官僚の出世エリートコースでもあるのです。
警視庁においては、課長職は通常、階級が警視か警視正の人が就くのに対し、警察庁キャリアの警察官僚の出世エリートコースである人事課だけは警視長の階級の人が任命されるほど。警察庁キャリアの警察官僚の立場からも、人事課に派遣されると、警察庁に戻っても出世エリートコースを歩むことが約束されているようです。
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ラジオライフ編集部
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