220系クラウンパトカーの値段はいくら?210系より高い?
街中を走るパトカーのうち、主力として活躍する「無線警ら車」はトヨタ・クラウンが定番となっています。2021年に国が購入する無線警ら車も、やはりトヨタが落札したため、トヨタ・クラウンとなることはほぼ間違いありません。さらに、トヨタのWebサイトには新型の220系クラウンパトカーが登場したことから、モデルチェンジも確定的です。220系クラウンパトカーの値段はいくらなのでしょう。
220系クラウンパトカーのイラスト登場
2021年度から新たに納入予定のパトカーのうち、各都道府県警で主力に使われる「無線警ら車」については220系クラウンパトカーが採用されるといわれています。これは、トヨタ自動車がレスキュー時の取り扱いを車種別にまとめた「QRS」のなかに、220系クラウンパトカーのイラストが登場しているためです。
無線警ら車は、各地の巡回パトロールや110番通報への対応で活躍するパトカーで、昇降式の赤色回転灯が天井部に取り付けられている点が特徴です(一部都道府県警が導入するSUVを除く)。無線警ら車の多くは、警察庁が全国分をまとめて発注し、それで足りない分については各都道府県警が個別に購入する仕組みです。
警察庁発注の無線警ら車については「国費分」ともいわれ、2021年を含むここ数年はトヨタ自動車が独占的に受注し続けています。というのも、トヨタはクラウンをベースにしたパトカー専用モデルとなるクラウンパトカーを用意していて、警察庁のパトカー仕様もこの専用モデルのクラウンパトカーを基準に決められる仕組みのため、値段も含めて他社が参入しづらいのです。
220系クラウンパトカーの値段は約454万円
トヨタのクラウンパトカーは、専用モデルということもあり「QRS」には市販車のクラウンとは別に「パトロールカー」というモデルが別掲載されています。そして、パトロールカーのQRSに記載されたクラウンパトカーのイラストが、2021年6月に210系から220系のクラウンへ変更。220系クラウンパトカーへのモデルチェンジが判明したのです。
パトロールカーのQRSには、ガソリン車とハイブリッド車の2種類を記載。220系クラウンパトカーには、2Lのガソリン車と2.5L、3.5Lのハイブリッド車という設定で、ガソリン車を選ぶのであれば2Lモデルとなります。また、220系クラウンパトカーの4WDモデルは2.5Lハイブリッド車のみとなるため、4WD車が必要な地域の220系クラウンパトカーはハイブリッド車一択です。
それでは、2021年に国費分として購入された220系クラウンパトカーの値段は1台あたりいくらとなるのでしょうか。2021年3月に行われた警察庁の入札では、2WD車の220系クラウンパトカーが234台分落札され、合計価格は約9億6548万円でした。ここから220系クラウンパトカー1台の値段を計算すると約413万円。税込価格は約454万円です。
220系クラウンパトカーの値段を市販車と比較
この220系クラウンパトカーの値段を市販車と比較すると、現在販売中のトヨタ・クラウンは、一番安い2.5Lハイブリッド車の「2.5L HYBRID B」の値段が税込で約490万円、ガソリン車で最安の「2.0L RS」がの値段が税込で約510万円となっています。
ちなみに、警察庁の2016年度の国費購入分については、無線警ら車と交通取締用四輪車のいずれも、トヨタの210系クラウンパトカーが採用されていました。210系クラウンパトカーでは無線警ら車は2.5Lエンジンのロイヤル、交通取締用四輪車は3.5Lエンジンのアスリートがベースになっています。
210系クラウンパトカーの無線警ら車には2WD車と4WD車があり、1台あたりの値段は2WD車が約298万円、4WD車が約326万円でした。一方、交通取締用四輪車の210系クラウンパトカーは1台あたりの値段は約334万円でした。
クラウンパトカーの値段が市販車より安い理由
なお、この時の210系クラウンパトカーの覆面パトカーの値段は約344万円。210系クラウンパトカーは、装備的に地味な覆面パトカーの方が、白黒パトカーより割高です。
さらに、その当時に市販されていた2.5Lエンジン搭載のクラウン・ロイヤルは一番安いグレードで373万円。3.5Lエンジン搭載のクラウン・アスリートの場合524万円となっています。
特殊装備を数多く積むクラウンパトカーの方が、一般モデルより値段が安いのは意外なところ。クラウンパトカーが内装をダウングレードしている程度では説明が付かない価格差です。クラウンパトカーの値段が安い理由は、メーカーからの直接納入で販売コストがかからないことに加えて、一括購入による割引が利いていると考えられます。
220系クラウンパトカーの採用時期
2021年の動向をパトカーマニアが注目していたのは、前年の2020年に市販車のトヨタ・クラウンがマイナーチェンジを行ったためでした。市販車のクラウンは、2018年から220系へとフルモデルチェンジが行われましたが、警察用のパトカーにはマイナーチェンジ後のクラウンから採用することが多かったためです。
日本の警察で使われるクラウンパトカーの主力は、街中でさまざまな犯罪の捜査や取り締まりを行う「無線警ら車」と、交通違反の取り締まりを担当する「交通取締用四輪車」の2種類に分けられます。無線警ら車と交通取締用四輪車では求められる走行性能が異なるものの、警察庁はいずれもクラウンパトカーを採用し続けてきました。
パトカーの発注は、まず警察庁が国費分としてある程度の台数を一括購入。不足分については各都道府県警が追加購入するという仕組みになっています。この国費分に関しては入札が行われるものの、ここ数年間トヨタ自動車のクラウンパトカーが連続で落札しているのです。なお、ワゴン車という別枠でパトカーには日産・セレナの採用例もあります。
220系クラウンパトカーに2L車が採用
警察庁がクラウンパトカーばかりを購入し続ける理由は公開されていません。しかし、警察庁が決めるパトカーの仕様自体がクラウンを意識した内容となっているほか、トヨタ側もクラウンベースのパトカー専用モデルを用意する力の入れようで、結果的にクラウンパトカーが値段も含めて有利な状況が続いているのです。
とはいえ、2021年初め頃は「220系クラウンはパトカーに採用されないのでは」といった情報も飛び交っていました。その理由として「220系クラウンのガソリン車には2Lモデルしかない」「トランクサイズが220系クラウンは小さい」など、パトカーの仕様を満たさない点が挙げられていました。
ところが、結果的には無線警ら車・交通取締用四輪車とも220系クラウンパトカーが採用されたことが判明。9月以降、各地で220系クラウンパトカーの納車が目撃されています。220系クラウンパトカーのグレードに関しては、無線警ら車の2WD車と交通取締用四輪車が2Lターボ、無線警ら車の4WD車は2.5Lハイブリッドが選ばれました。
ちなみに、これまでパトカーのエンジン排気量は無線警ら車が2.5L級以上、交通取締用四輪車は3L級以上とされていました。今回、220系クラウンパトカーに2L車が採用できたのは警察庁が仕様を変更したためです。警察庁がそこまでクラウンパトカーにこだわり続けることから、今後もパトカーの主力車種は220系クラウンパトカーの時代が続きそうです。
220系クラウンパトカーの数字の意味
ところで、パトカーマニアがパトカーの車種を語る際、単にクラウンではなく「210系クラウン」「220系クラウン」といった呼び方をします。220系クラウンパトカーは、2021年秋から全国各地で目撃されており、検査の後に今冬にも正式に配備予定です。
この「クラウン」の前に付けられる「210」「220」という数字は、ベースとなるトヨタ・クラウンが何年に製造され、どのようなモデルなのかを表す「車両型式」の一部です。車両型式は、陸運局に車検登録する際に車種を区別するための記号で、パトカーに限らず公道を走行するすべての車種に割り振られています。
車両型式で車種を区別するのはパトカーマニアに限らず、カーマニアの間でも一般的。例えば、カローラレビン・トレノの熱烈なマニアは「86」「92」など車両型式の数字で呼んだり、ポルシェマニアはポルシェ911を呼ぶときに車両型式の「991」「997」といった数字を使いたがったりするといった具合です。
220系クラウンパトカーの数字の読み方
それではクラウンパトカーに「220」ではなく「220系」と「系」が付くのはなぜなのでしょう。これは、クラウンではさまざまなグレードにより車両型式が微妙に異なることがあり、単に「220」としてしまうと正しい車両型式にならないことがあるためです。
ちなみに、220系クラウンパトカーの「220」の読み方は「にひゃくにじゅう」「にーにーまる」の2種類が考えられますが、パトカーマニアの間では数字をひとつずつ読む「にーにーまる」の方が優勢です。すなわち210系クラウンパトカーの数字は「にーいちまる」と読みます。
この事情はパトカーに限らず、他のカーマニアも同様です。例えば、カローラレビン・トレノの傑作モデルである車両型式「AE86」は「ハチロク」として語り継がれ、ついにはトヨタの現行スポーツモデル「86」として車名にもなりました。もちろん、トヨタ・86の「86」の呼び方は「ハチロク」です。
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ラジオライフ編集部
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