スクランブル解除「アベンジャーボード」とは?
機能としてのインパクトはもちろん、社会的な影響を鑑みて裏グッズの歴史に名を刻んでいるのが、いわゆる「万能CATVチューナー」です。2000年代のアナログ放送末期に大ブームとなり、テレビニュースや週刊誌などでも取り上げられました。そこに内蔵されていたのが「アベンジャーボード」です。

万能CATVチューナーでリモコン操作
「万能CATVチューナー」は、タダ見をカジュアル化したという点で非常に罪深いアイテムといえるでしょう。ケーブルテレビは本来、専用のCATVチューナー(STB:セットトップボックス)を介して視聴します。
その代わりに、万能CATVチューナーをテレビとの間にAVケーブルで挟み込むようにつなぎ、リモコンで特定のボタンを押すと、有料チャンネルのスクランブルを解除できてしまいました。つまり、契約せずに全チャンネルのタダ見が可能になったのです。
リモコンの「VBP」ボタンを押すことでスクランブルが解除…というのが基本機能。CATVの多くは、同期信号やカラーバースト信号のレベルを変化させて送信する「同期圧縮方式」であり、この方式に万能CATVチューナーは対応していました。
万能CATVチューナーは疑似的に複号
当初は「万能デスクランブラー」などとも呼ばれていましたが、2004年頃からラインアップが増え、国内のネット通販などでも容易に入手できるようになりユーザーが増加。韓国製の「ZEROVISION」「VIEWGATE」などがメジャーどころでした。
当初はチューナーのラインアップが少なく高価であったため、搭載されいる解除基板に注目が集まります。「BOSS」「COBRA」などいくつか種類がありましたが、最終的には多くのチューナーに搭載されていた「AVENGER」から、「アベンジャーボード」という名称が一般化しました。
万能CATVチューナーは、内蔵されたアベンジャーボードにて、スクランブル付きの映像を擬似的に復号するもの。つまり、これが心臓部なのです。そして販売の規制が厳しくなると、PC用の「cCD-XP32」なるソフトウエア版も登場。特定のチューナーカード(一般メーカー製品)と組み合わせて使用されました。