混変調がハンディ機でおきて固定機にはない理由
周波数を合わせている受信したい電波を「目的波」と呼び、悪影響を与える電波の「妨害波」から受ける現象を「不正受信」といいます。不正受信には発生要因によって、いろいろな種類があり、その症状も異なります。強い電波によって引き起こされる不正受信について解説していきましょう。
テレビ放送が混変調の大きな原因
不正受信の代名詞となっているのが「混変調」で、振幅変調(AMモード)の妨害波によって生じます。現在、AMモードの電波は、AMラジオ放送やエアーバンドといった限られた受信ジャンルでしか使われていませんが、地上波テレビ放送がアナログ波だった時代は、映像信号が振幅変調だったために、混変調の大きな原因になっていました。
テレビ放送の強力な電波は全国各地で飛んでいたので「不正受信=混変調」という図式が出来上がったようです。映像波の混変調を受けると「ブ~ン」という映像信号がカブってきました。
混変調が発生する原因は、受信機の高周波増幅回路や中間周波数増幅回路の不備です。これらの増幅回路は、入力された電力を設計した増幅度にアップさせ、正比例した電力を出力する動作をします。
しかし、これは理想的な回路であって、現実にはそうはなりません。増幅回路は、電力を増幅する過程で「歪み」が出ます。この歪みは高調波として現れます。強い電波は歪みも大きくなり、受信機の内部に高調波という周波数が発生しやすくなります。
混変調で目的波と妨害波が聞こえる
混変調は、増幅回路の歪みと振幅変調の妨害波が1波あることで発生します。妨害波の側帯波が増幅回路の歪みによって、目的波を振幅変調してしまうのです。その結果、目的波と妨害波が同時に聞こえることになります。これが混変調の症状です。
混変調が厄介なところは、どのような受信周波数帯であっても、強力な妨害波が1波でも存在すれば、発生する可能性があること。混変調を防ぐためには、歪みの無い(高調波を発生しない)増幅回路を搭載することです。
ハンディ機に比べて、設計上の余裕(製造コストと物理的なスペース)がある固定機なら、より歪みの少ない増幅回路を搭載できるので、混変調の発生を抑えることができます。
なお、高性能な増幅回路は、消費電力も大きくなります。固定機本体からの発熱はかなりのもので、これは大型の増幅器が搭載されている証です。
その他の対処方法は、原因となる妨害波の電界強度を下げること。フィルターで妨害波をカットしたり、目的波の感度も落ちますが、アッテネータを作動させる方法です。
固定機には、高周波入力の段階で優秀なフィルターが搭載されています。このフィルターも固定機の大型化につながるのですが、不正受信を防ぐ効果的な手段です。
■「受信機」おすすめ記事
広帯域受信機を4,000円で手に入れる方法とは
盗聴器の発見方法はハンディ受信機のスキャン
DJ-X81の盗聴器発見機能を実際に使ってみた
IC-R6のユーザー評価が高い理由は電池の持ち
パトカーや白バイの追尾を知らせるお手軽受信機
デジタル簡易無線は端末そのものを受信機にする
デジタル受信機「AR-DV10」操作には慣れが必要
AR-DV10のデジタル無線受信の可能性をチェック
消防無線の秘話通信を解読できるハンディ受信機
ラジオライフ編集部
最新記事 by ラジオライフ編集部 (全て見る)
- NHK受信料の消費税は軽減税率8%?それとも10%? - 2025年1月15日
- クレジットカードで手数料を請求する店の対処法 - 2025年1月15日
- 無音撮影も画面偽装も可能なビデオカメラアプリ - 2025年1月14日
- 殺人事件は捜査一課で二課や三課が担当するのは? - 2025年1月14日
- 盗聴器の電波が無音の時に発信源を絞り込む方法 - 2025年1月14日
この記事にコメントする
あわせて読みたい記事
「混変調」以外に不正受信はどんな種類がある?
固定機とハンディ機で受信性能はどう違うのか?
オススメ記事
2021年10月、ついに「モザイク破壊」に関する事件で逮捕者が出ました。京都府警サイバー犯罪対策課と右京署は、人工知能(AI)技術を悪用してアダルト動画(AV)のモザイクを除去したように改変し[…続きを読む]
モザイク処理は、特定部分の色の平均情報を元に解像度を下げるという非可逆変換なので「モザイク除去」は理論上は不可能です。しかし、これまで数々の「モザイク除去機」が登場してきました。モザイク除去は[…続きを読む]
圧倒的ユーザー数を誇るLINEは当然、秘密の連絡にも使われます。LINEの会話は探偵が重点調査対象とするものの1つです。そこで、探偵がLINEの会話を盗み見する盗聴&盗撮テクニックを見ていくと[…続きを読む]
盗聴器といえば、自宅や会社など目的の場所に直接仕掛ける電波式盗聴器が主流でした。しかし、スマホ、タブレットPCなどのモバイル機器が普及した現在、それらの端末を利用した「盗聴器アプリ」が急増して[…続きを読む]
おもちゃの缶詰は、森永製菓「チョコボール」の当たりである“銀のエンゼル”を5枚集めるともらえる景品。このおもちゃの缶詰をもらうために、チョコボール銀のエンゼルの当たり確率と見分け方を紹介しまし[…続きを読む]