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固定機とハンディ機で受信性能はどう違うのか?

2020年5月、東京の都心上空を飛行したブルーインパルス。しかし、都内にいても多くの人はその勇姿を見ることはできませんでした。そんな時こそ、離れていてもブルーインパルスの動きが分かるエアーバンドを受信したいもの。遠く離れた電波をキャッチできる固定機と、ハンディ機の違いを見ていきましょう。


固定機とハンディ機で受信性能はどう違うのか?


固定機はパーツの精度と数量が違う

遠距離受信に必要な受信機材は、屋根やベランダに設置する大きな外部アンテナと、そこに接続する「固定型受信機」が定番。固定機と呼ばれる固定型受信機を用意するのは、ハンディ機では力不足だからです。

高価な固定機は高性能であることは分かりますが、カタログスペックを見ると固定機は大きいだけで、ハンディ機とは大差ないように見えます。実際、聞ける無線が存在しないGHz帯の受信機能は必要ありませんし、HF帯を受信しないのであれば、SSBモードやCWモードも不要です。

それでも固定機が必要な理由は何でしょうか。固定機とハンディ機の違いは、表面的なカタログスペックだけではありません。受信機の性能を左右する回路の設計や、使用する電子パーツの精度と数量に大きな違いがあるのです。

この違いが実際の受信にどんな影響を及ぼすのか、固定機とハンディ機との違いについて解説しましょう。

ハンディ機に外部アンテナを接続するだけで、電波の入り口が格段に広がって受信状況は劇的に好転します。10万円以上する固定機を購入するよりも、1万~2万円程度で設置できる外部アンテナの導入は、コスト的に優れた賢明な手段です。すでに外部アンテナを上げている受信マニアは多いことでしょう。


ハンディ機と固定機の設計コンセプト

しかし、アンテナが高性能になればなるほど、その性能を活かすためには、接続する受信機の性能が重要になってくるのです。外部アンテナを導入すると、遠くの弱い電波をキャッチして入感する電波が増え、近隣の強い電波はさらに強力に飛び込んできます。

この強い電波を、受信機が正確に処理できるかという点が問題になるのです。アンテナは電波をキャッチする働きをしますが、受けた電波を選択して音声化するのは受信機だからです。

アンテナと受信機の性能のバランスは、遠距離受信をする上で重要になります。ハンディ機は、20cm程度の付属アンテナで受信することを前提に設計されており、付属アンテナでキャッチできるのは、市内周辺や高所から送信されている電波です。

手軽に持ち歩けるハンディ機は、近隣の無線や現場受信で100%の性能が発揮されるように設計されています。対する固定機は、外部アンテナに接続して自宅などでじっくりと遠距離受信をする設計です。

ハンディ機と固定機の設計コンセプトの違いが、明確になるのは感度。感度グラフを見比べてみると、高性能を売りにする固定機の方が高感度をマークするのかと思いきや、不思議なことにハンディ機の方が感度が高いのです。


固定機は感度を控えめに設計している

これは汎用の付属アンテナでも、たくさんの無線が聞こえてくるように、メーカーはハンディ機の感度を高める設計をしているからです。ならば、高感度のハンディ機に高性能の外部アンテナを接続すれば、まさに無敵の受信システムが完成するハズですが、現実にはそうなりません。

ハンディ機は高感度を得た分だけ、不正な受信を受けやすくなるからです。外部アンテナによって遠くの弱い電波がキャッチできるようになったのと同時に、近隣からの強い電波をより強力に受信することになります。

この強い電波が不正受信を引き起こす要因になり、ハンディ機のコンパクトなボディに収められた受信回路をパンクさせてしまい、正しい処理ができなくなり、ノイズによって受信不能に陥ってしまうのです。

感度を控えめに設計している固定機は、多くの電子パーツを使った大型で高精度の受信回路を持つため、外部アンテナから強力な電波が入感してもパンクすることなく、正しい処理を行って音声化します。結果的に感度を抑えた固定機の方が、不正な受信を受けることがないので、よりよく聞こえるのです。

固定機がハンディ機と違う決定的なメリットは、外部アンテナによって強力な電波が受信機内に入ってきても、聞きたい電波を正しく音声化できること。高性能な外部アンテナとのマッチングは、固定機の方が格段に優れており、飛び交う電波の状態に左右されることなく、安定した受信を約束してくれます。

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ラジオライフ編集部

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