クレジットカードで暗証番号の入力が増えた理由
最近、クレジットカードを使おうとすると、カードリーダーへ自分でカードを差し込み、暗証番号を入力して決済するお店が増えています。とくに大手コンビニチェーンやショッピングモールなどは、今はほぼすべてこの方式です。実は、サインではなく暗証番号を求めるようになったのは、ある法改正の影響なのです。
クレジットカード暗証番号とICチップ
クレジットカードを利用する際は、伝票へサインを記入することで本人確認を行うといった方法が長年とられてきました。カードの裏側に署名欄があり、そこにサインがないカードは使えないという決まりも、カード側のサインがないと店舗が本人確認をできないことが理由です。
ところが、最近では伝票へのサインに代わり、暗証番号が使われることが増えています。ただし、サインをするより暗証番号の方が利便性が高いといった理由で切り替わっているわけでありません。実は、クレジットカードに搭載されているICチップが関係しているのです。
現在、日本国内で発行されているクレジットカードは、特定店舗でしか使えない特殊なものを除き、すべてICチップを搭載しています。これは、2018年にクレジットカード決済に関する法律の割賦法が改正され、業界全体で2020年3月末までに全カードをICチップ搭載にすることとなったためです。
クレジットカードの暗証番号は即消去
クレジットカードにICチップを搭載する理由は、偽造カード対策にあります。ICチップに搭載される情報には、外から直接読み出せない一方、それがないとクレジットカード情報が再現できない「秘匿領域」と呼ばれる部分があり、これを含めてまるごと偽造することが極めて難しい仕組みになっているのです。
そして、ICチップでクレジットカードを決済する際にサインではなく暗証番号を利用するのは、店舗側にサインという物理的な証拠を残さないという理由があります。ICチップによる暗証番号決済では、ユーザーが入力した暗証番号は決済後即座に消去される仕組みで、コピーして利用することができません。
とはいえ、クレジットカードがICチップ搭載になるだけでは、こうしたセキュリティ対策は機能せず、利用する店舗側がICチップ決済に対応しなければなりません。この点で、日本はEU諸国などから遅れをとっていましたが、こちらも2020年3月末を目標に対策がとられ、大手ショップでは現在ほぼすべてICチップ決済になっています。
クレジットカード暗証番号と感染症
クレジットカード利用者側からみると、ICチップ決済のデメリットといえるものはほぼありません。最近になりICチップ決済を導入した店舗では、カードを利用者自身でリーダーへ差し込み、暗証番号を入力するパターンも多く、レジの店員と接触による感染症を気にせずに済むというメリットもあります。
一方、ICチップによる決済の普及により、海外発行のクレジットカードが日本で利用できないといった事態も考えられます。実は、ICチップ搭載カードを発行していない国も世界中にはまだ残っており、こうした国でカードを紛失・再発行をした場合、帰国後そのカードは国内で利用不可能となってしまいます。
2020年3月末というタイミングが、海外への渡航が大幅に制限された時期と重なったこともあり、海外発行カードに関する問題はそれほど大きな話題になっていません。とはいえ、今後海外渡航制限が緩和されると、ICチップに関するさまざまなトラブルが増える可能性もあるので要注意です。
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ラジオライフ編集部
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