ID-52の受信改造とエアーバンド受信レビューでベストバイな理由
エアーバンド受信にはアマチュア無線機の最新モデル、アイコムの「ID-52」がべストバイです。実は、現行モデルの中からベストバイを選ぶ際、真っ先に思い浮かべたハンディ機は、アイコムの「IC-R30」です。1年前ならIC-R30がエアーバンド受信のベストバイだったのですが、その思いはID-52の登場によって大きく変わりました。ID-52のレビューを受信改造方法とともに紹介します。

ID-52はエアーバンド受信でノイズがない
IC-R30は、航空祭や基地周辺でのモニターや記録用として2台持ちをするほど優秀なハンディ機です。しかし、ちょっと物足りなさを感じる部分が出てきました。それは不安定さが付きまとうところ。エアーバンド受信ではノイズを拾って、やたらにスケルチが開くのです。
対策として、スケルチをAUTOからLEVEL1か2に設定しますが、今度はアプローチなど、遠方の航空機が発射した電波の受信に、やや感度の足りなさを感じて不安になります。
また、使っているデジタルカメラとの相性なのか、撮影データをメモリーカードに書き込んでいる時に、IC-R30はノイズを拾います。これまでの受信機にはなかったことです。
ID-52をエアーバンド受信に使ってみると、IC-R30のような不安定さを感じることが少なくなりました。ID-52がエアーバンド受信で不用意にノイズを拾うことがなくなったため、ノイズでスケルチが開いた際に生成される2秒程度の無音の録音ファイルが、大量生産されることがなくなったのです。
ID-52のエアーバンドはUHF帯の下限を拡張
ID-52がエアーバンド受信でノイズを拾わない特性は録音データの連続再生時に、余計な手間を省いてくれます。ID-52の受信データを記録する“最強の録音機能”が、エアーバンド受信でさらに活かせるようになりました。
ID-52は、UHF帯エアーバンドが受信できるようになったものの、VHF帯とUHF帯ともにエアーバンドの2波同時受信はできない(BバンドはAMモードの設定が不可)点は、IC-R30よりも劣ります。
しかし、ID-52はVHF帯エアーバンドはとても感度が良く、アマチュア無線機なのに、送信バンドの谷間になるUHF帯エアーバンドも何食わぬ顔でしっかり受信してくれるという点は大きな魅力。UHF帯エアーバンドの感度が高いID-52は、2006年発売の第1世代機の「ID-91」以来の仕様です。
さらに、ID-52はUHF帯エアーバンドのカバー範囲の下限が、従来機の230MHzから225MHzに拡張された点も実に大きな前進です。このおかげで、海上自衛隊の航空基地に割当てられている、228.200MHzなどのエアーバンドがID-52でモニターできるようになりました。
ID-52は大型カラーディスプレイ採用
ID-52のFMラジオ放送を聞きながらの、エアーバンドなど3波同時受信で待ち受けできる点も、さすがはハンディ無線機のフラッグシップモデル。ID-52はライバル機に負けてはいません。
さらにID-52の評価を高めているのは、エアーバンド受信に必須のスキャン速度の速さ。アマチュア無線機の場合、送信機能を搭載する関係から、スキャンやサーチ速度は設計上やや犠牲にされがちです。しかし、ID-52はスキャン&サーチ速度ともに、実測で毎秒59チャンネルと無線機らしからぬ高速をマーク。ID-52は高級受信機に迫るエアーバンド受信性能です。
ID-52の外観上の特徴である大型のカラーディスプレイは、ムダに色を多用することなく見やすい上に、ナナメ上方向からの視認性に優れているのです。ID-52は設置場所の確保が難しい車内で力を発揮するでしょう。
ID-52のウイークポイントであるエアーバンドなどでAMモードの2波同時受信ができない点は、乱暴な言い方をしてしまえば、2台買いで解決できるという力任せの方法もありますが、ID-52の最大の問題は入手難が続いていることです。実勢価格は61,000円となっています。
ID-52の受信改造方法が判明した
ID-52は2020年9月の発売当初から、受信改造の方法が不明でした。そのため、ID-52は」メーカー団体自主規制の「Jマーク」で、無線電話の周波数帯が受信できない歯抜け状態が続いていたのです。そんなID-52の受信改造方法が判明しました。
ID-52の受信改造は、まずメインダイヤルと音量ダイヤルを引き抜きますが、指で抜くことが可能です。つづいて、メインダイヤルとアンテナ接栓に付くナットを専用工具を使って取り外します。
続いて、電池ケースの下側のネジ2本を外したら、表面の十字ボタンを押し込んで金属フレームを押し出してください。ID-52の受信改造ポイントはボタン接点のある基板の左上に存在します。
MENUボタンとRX→CSボタンの間にあるランドに注目。黄色いLEDチップの上にあるチップをハンダごてで取り去るのです。組み立て後、ENT+SQLボタンを同時に押しながら電源を入れて、ID-52の受信改造は終了となります。
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ラジオライフ編集部

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