巡査長と巡査部長の違いで警察官には大きな格差
警察は階級組織。巡査から警視総監まで、警察官には10個の階級があります。警察官の階級は給料計算のベースともなるため重要ですが、警察官は階級が上がることで仕事内容が大きく変わるポイントが2か所あります。ひとつは巡査長から巡査部長、そしてもうひとつが警部補から警部です。
巡査長は巡査部長になれない警察官の名誉階級
日本の警察は警察法で9階級に区分され、下から「巡査・巡査部長・警部補・警部・警視・警視正・警視長・警視監・警視総監」となっています。また、巡査と巡査部長の間に「巡査長」という階級もあります。
巡査長は、勤務成績が優秀で実務経験も豊富なものの、巡査部長への昇任が困難もしくは昇任試験を受けない巡査が任命される、一種の名誉階級です。警察官の階級章や制帽の階級表示は、この巡査長を含んで規定されています。
警察官のほとんどは各都道府県所属の地方公務員ですが、その階級については全国的に統一されています。地方採用の警察官は巡査からスタートして「巡査長→巡査部長→警部補→警部→警視→警視正→警視長→警視監」のように出世していきます。
巡査長と巡査部長との違いは逮捕後の取り調べ
この出世ルートのなかで、大きな違いが生まれる重要なポイントがふたつあります。1つは巡査長から巡査部長になれるかなれないかの違い。巡査と巡査長は「司法巡査」ですが、巡査部長以上は「司法警察員」となり、できる仕事が変わってくるためです。
巡査長から巡査部長に昇格して司法警察員になるとできる仕事の違いに、逮捕した犯人の取り調べがあります。刑事訴訟法には司法巡査が逮捕した場合、すみやかに巡査部長以上の司法警察員へ引き渡すことと書かれているのです。すなわち、巡査と巡査長は犯人逮捕はできても、取り調べは行えないことになっています。
この規定には例外も設けられていて、各都道府県警の本部長が指定した場合、巡査や巡査長が巡査部長に昇任していなくても司法警察員になれます。警視庁の場合、条例にはっきり指定があり、本庁の捜査各課などの捜査部門や島部の警察署の捜査員は司法警察員です。
巡査長から巡査部長と警部補から警部に試験
そして、警察官の階級で大きな違いを生む 巡査長から巡査部長に続く2つのポイントは、警部補から警部への出世の違いです。警部以上になると、本庁所属か各警察署所属かに関係なく、裁判所へ逮捕状の請求ができるようになります。こちらには、各都道府県とも例外はありません。
巡査長から巡査部長、警部補から警部ともに、出世には昇任試験をパスする必要があります。いくら経験豊富なベテラン刑事でも、巡査部長の試験に受からない、あるいは受けなければ巡査長のままです。
なお、地方採用の警察官の場合、身分が変わる出世ポイントが別にあります。それは警視から警視正への昇進で、警視正以上になると地方公務員ではなく国家公務員になり、給料も国から支払われることになります。
巡査長と巡査部長と警部補の階級章の違い
警視正以上の階級となると、警察官全体の1%ほどしかいないため、地方採用で出世するのは至難の業。警視正以上の階級は、ほとんどが国家公務員Ⅰ種やⅡ種で採用された「キャリア」「準キャリア」と呼ばれる警察官が占めています。
警察官は巡査長と巡査部長の違いや、警部補と警部の違いを階級章で見分けることか可能です。警察官の階級章は、中央の紺色の地に金色の日章に横板と桜葉を配したデザイン。横板の地色とその下の桜葉の色、横板のバーの数で階級を判別できるのです。
横板の地色も桜葉の色も銀一色なのは巡査クラスの階級章。横板の金色のバーが1本だと巡査、2本になると巡査長、3本だと巡査部長と、バーの数の違いで階級が上がっていく決まりです。巡査長と巡査部長はバーの数が違います。
巡査部長や警部補までが交番などの現場
地色が銀で桜葉の色が金だと、警部補クラスの階級章。バーの数が増えていく順に「警部補・警部・警視」と階級が上になります。警視正クラスの階級章は地色が金、桜葉の色も金。バーが増えていく順に「警視正・警視長・警視監」です。
ここで、夜道で遭遇した職務質問を手早く切り上げるための、巡査部長と巡査長の違いを見ていきましょう。職務質問をする警察官はおもにほぼ銀一色の階級章と識別章を付けている巡査部長以下のはずです。
警察官は巡査部長や警部補までが現場で働きます。しかし、警部補になると、交番所長や小隊長となって書類仕事が多いため、現場仕事は激減。巡査部長と警部補で、現場に出る機会に大きな違いがあります。
巡査長は巡査部長になれない警察官でクセ
なお、職務質問は2人組で行うのが一般的で、どちらか一方が必ず上官です。ただし、警察官が同じ階級の場合、指導係や先輩である「先任(せんにん)」の警察官が上官になり、現場の権限を持ちます。
職務質問ではバーの数の違いを見るだけで誰が巡査部長・巡査長。巡査なのか判別可能ということ。とくに、交番勤務で実績を上げて勤務成績優秀者にならないと、巡査部長への昇任試験を受けさせてもらえない巡査は、必死で職務質問してきます。
また、巡査長は勤続10年で自動的に昇任する階級。逆に言えば、巡査長は巡査部長になれない警察官です。このため、30歳を過ぎた巡査部長になれない巡査長には、クセのある警察官が多いともいわれています。職務質問では階級章のバーが2本の巡査部長になれない巡査長には、慎重に対応するようにしましょう。
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ラジオライフ編集部
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