行政処分と刑事処分…交通違反に対する処分の違い
自動車教習所では、交通違反に対する処分として「刑事」「民事」「行政」といった3種類の処分があると教えられます。3種類の処分は独立していて、「この交通違反は行政処分だけ」といった形で決まるものではありません。そこで、交通違反の処分について、行政処分と刑事処分の違いについて詳しく見ていくことにします。
刑事処分は法律に定められている罰則
交通違反に限らず、さまざまな法律違反には「刑事・民事・行政」という3種類の側面があります。交通違反の場合、民事については交通事故で相手に怪我をさせたり壁などを壊してしまった場合に発生するもので、単にスピード違反で取り締まられた場合は被害を受けた人がいないため、民事処分にはなりません。
刑事処分については、法律に「懲役○年」「罰金×円」といった罰則が定められている違反に課せられるもので、取り締まり対象となる交通違反のほぼすべてに罰則が決められています。ところが、交通違反の場合は特例で「交通反則通告制度」が設けられており、これに該当する場合は刑事処分がなくなるのです。
交通反則通告制度は1968年に導入されたもので、軽い交通違反については裁判を行わず、違反の種類ごとに定められた反則金を納めれば刑事裁判を行わずに済む制度です。具体的には、取り締まり後に青キップを切られた違反の場合、交通反則通告制度の対象となります。
行政処分は各都道府県公安委員会の命令
青キップの違反については、刑事裁判で罰金などが決まるわけでなく、形式上は各都道府県公安委員会の命令により反則金を納めるため、刑事処分ではなく「行政処分」になります。また、納めた反則金についても、裁判で決まる罰金とは違い、法律上は「科料」という扱いです。
一方、飲酒運転や30km/h以上(高速道路は40km/h以上)のスピード違反など悪質な違反で赤キップを切られた場合、略式命令を含む裁判で懲役や罰金などが課せられるため、刑事処分となります。また、青キップの違反でも交通反則通告制度を利用せず裁判で争う場合は、刑事処分として罰金などが決まります。
このほか、交通違反で行われる行政処分には、反則金のほかに駐車違反の取り締まりで自動車のオーナーが納める「放置違反金」も該当します。そして、交通違反でドライバーが気にする違反ごとに累積されていく「点数」も、実は行政処分のひとつなのです。
行政処分は刑事処分とは別に行われる
交通違反の点数は、取り締まりや事故処理を行った各都道府県警からの通知を元に、免許証を管理する都道府県公安委員会が付けていきます。点数は「25~30km/hのスピード違反は3点」「全治15~30日の傷害事故は6点」など違反や事故ごとに定められ、累積すると免許停止や免許取消などの行政処分の対象となるのです。
違反の点数に関わる行政処分は、刑事処分とは別に行われます。このため、青キップで済んだスピード違反で反則金を納めず結果として不起訴となった場合も、違反の点数についてはそのまま累積している可能性が高いので、刑事処分はなくても行政処分に注意が必要です。
ちなみに、四輪車のシートベルト着用義務違反やチャイルドシート装着義務違反、二輪車のヘルメット着用義務違反については、道路交通法上の罰則がないものの、行政処分につながる違反の点数が付く仕組みです。これらの違反で取り締まられた際に、警察官から渡されるのが白キップとなります。
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ラジオライフ編集部
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