新型オービスはレーザーでどうやって速度測定?
いま、ドライバーに恐れられているスピード違反の取り締まり方法が、持ち運び可能でさまざまな場所で取り締まりを行える「新型オービス」です。数年前から全国の都道府県警で導入がはじまり、これまで考えられなかった生活道路でのスピード違反取り締まりにも使われている新型オービスは、どのような測定を行っているのでしょうか。
新型オービスは持ち運び可能になった
スピード違反の取り締まりで使われるオービスは、警察内部では「自動速度取締装置」と呼ばれ、おもに高速道路や主要幹線道路に設置されてきました。オービスは、通過車両のスピードを自動的に計測。スピード違反車両を発見した場合、連動したカメラで正面からドライバーやナンバープレートを撮影する仕組みです。
オービスという名称は、最初に導入された東京航空計器製の商品名に由来し、当時のスピード測定には道路下に埋め込まれた2か所のコイルを通過する時間から速度を割り出す「ループコイル式」が採用されていました。その後、レーダーのドップラー効果を測定に利用する他社モデルも導入されましたが、総称してオービスと呼ばれています。
従来型のオービスは、ループコイル式、レーダー式ともに特定の場所に設置され動かすことができない固定式です。ところが、2016年に入り設置場所の移動が可能となる「新型オービス」が全国各地で導入をスタートしたのです。
新型オービスLSM-310の半可搬式運用
新型オービスには、従来型のレーダーと比べ高い周波数のレーダー波を利用するレーダー式と、レーザー光のドップラー効果を利用しスピードを測定するレーザー式があります。2021年現在、全国各地の都道府県警が導入した新型オービスでは、レーザー式の割合が多く、レーダー式は少数にとどまっています。
レーザー式オービスには、現在可搬式の「LSM-300」「LSM-310」と半可搬式の「LSM300-HK」があり、いずれも東京航空計器が製造。このうち、LSM-300-HKはLSM-300を基台へ取り付け、基台の中に設置された通信機器から中央制御装置へ撮影画像を送ることにより、連続運用が可能となっています。
LSM-310はLSM-300の改良版といえるモデルで、これまでモノクロだった撮影画像をカラー化。カメラ部分とストロボ+レーザースキャン部分が2分割可能で、持ち運びしやすくなっています。なお、2021年に入り大阪府内でLSM-310を半可搬式として運用する様子も目撃されています。
新型オービスの測定位置は25~30m
それでは、レーザー式の新型オービスが速度違反を判定する位置やカメラで撮影する位置はどうなっているのでしょうか? 取扱説明書によると、LSM-300のスピード測定は手前25~30m、撮影ポイントは20m手前となっています。
また、取扱説明書には「一定速度で回転するミラーによる投受光のため、同じ経路の反射光しか受光しない」と記載。他建造物や他車両の多重反射の影響を受けないといった内容も書かれています。ちなみに、回転ミラーを使用することは、レーザーで距離やスピードを測定する際によく用いられる技術です。
新型オービスが導入された理由として大きいのが、違反車両をその場で停止させる必要がないため、これまでスペース上難しかった生活道路での取り締まりが可能になることです。実際、新型オービスを活用し「ゾーン30」と呼ばれる制限速度30km/hの道路での取り締まり事例も報告されています。
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