駐車違反で出頭しないデメリットはあるか?
路上駐車をして車に戻るとフロントガラスに駐車違反チケット…そんな苦い経験をした人は多いはずです。この駐車違反チケットを受け取ったとき、警察に出頭すべきかどうか悩むところ。じつは駐車違反で出頭しない場合もする場合も違反金は同じです。駐車違反で出頭しないと付かない違反点数も、出頭すると付けられてしまいます。駐車違反で出頭しないデメリットはあるのでしょうか。
駐車違反で出頭しないデメリット
駐車違反を取られて警察に出頭すると違反金の他に違反点数も付けられます。駐車違反の駐禁チケットの裏には「運転者が警察署に出頭するなどして、この違反について反則金を納付した場合等は使用者に対する放置違反金納付命令は行われないこととなります」と書かれています。
この記述から、警察に駐車違反チケットを持って出頭しないといけないと思いがちですが、駐禁チケットに書かれていることは単に「自分で駐車違反を認めて違反金を警察に出頭して払いに来れば違反金納付書を送らないよ」ということ。つまり、駐車違反で出頭しない場合は放置違反金納付命令は出るということです。
ちなみに、駐車違反で出頭する場合の違反者は必ずしも所有者とは限りません。駐車違反で出頭するということは「私が駐禁しました」と認めることになります。駐車違反は出頭するだけ損ということ。駐車違反で出頭しない場合のデメリットはほとんどありません。
駐車違反で出頭しないデメリットがあるケース
駐車違反で出頭しないと、クルマの所有者に違反金納付書が届きます。しかし、駐車違反で出頭しないと届く違反金納付書を半年に3回受け取ると、所有者責任としてクルマの使用禁止命令が出る事態になることは覚えておきましょう。
このように、駐車違反で出頭しないと違反点数が付いて出頭すると違反点数も付いてしまうもの。しかし、社用車などの場合は、駐車違反で出頭しないと所有者に責任が及んでしまいます。社用車などの駐車違反で出頭しないと、あとあと社内で駐車違反の犯人探しが行われて面倒なことになるかもしれません。
社用車の場合は、駐車違反で出頭しないデメリットは大きそうです。社用車などの駐車違反で出頭しないと、業務でそのクルマを使用できなくなるということもあるので要注意。駐車違反の仕組みをよく理解して、出頭しないデメリットを考えておくことはとても大切といえます。
駐車違反を取り締まる駐車監視員に密着
駐車違反を2人1組で取り締まることが多い駐車監視員の駐禁チケットを貼っていく仕事は実にシステマティックです。違反車両を見つけると、まず1人目がデジカメで証拠写真を撮影。もう片方が違反車両が止めてある住所や違反名などを端末に記録します。
駐車監視員は端末に駐車違反の情報を入力すると、印刷機で駐禁チケットを出力して放置車両に貼り付け。最後に、その様子を1人目がデジカメで撮影すれば駐車違反の確認作業完了です。そこで、駐車監視員に密着して駐車違反の確定タイミングを確認しました。
駐車監視員はビルの前で駐車違反のトラックを発見。トラックを見つけるや否や、さっそく駐車違反の確認作業を始めました。しかし、しばらくすると運転手が登場。そそくさと中に乗り込んでトラックを移動させてしまいました。
駐車違反は貼られたらアウトとなる
その後、しばらく歩いた所でシルバーの軽ワゴンの駐車違反を発見。そのまま駐車違反の確認作業を始めました。駐車監視員は心なしか先ほどよりも体の動きが俊敏。測量やデータ入力をテキパキと終えた駐車監視員2人は、駐車違反の駐禁チケットの印刷の準備に入りました。その時、運転手が駐車違反の車両へ乗り込み、あっという間にクルマを移動させてしまったのです。
今度は駐車違反のBMWを発見して駐車監視員が確認作業。一連の作業を終えて駐禁チケットの印刷作業に入ります。そして、駐禁チケットの出力が終わり、駐車違反の車両のフロントガラスにそれが貼られました。最後の作業である駐車違反の車両に駐禁チケットが貼られた状態の写真も撮影して完了です。
このように、駐車監視員による駐車違反の取り締まりは駐禁チケットを貼られたらアウト、貼られる前に戻ればセーフということです。とはいえ、放置車両は取り締まりの対象。交通の妨げとなる駐車違反はやめましょう。
駐車違反で出頭しない違反者を追跡
そもそも駐車違反を取り締まる駐車監視員制度とは、どういったものなのでしょう。以前の駐車違反の取り締まりは、警察官がカギ付きの駐禁ステッカーを取り付け、駐車違反の違反者を警察へ出頭させて違反キップを切るシステムでした。
駐車違反に駐車監視員制度が導入されたのは2006年。駐車違反を現認した後にナンバーから判明した車両の持ち主に「放置違反金」という新しいペナルティを払わせる形に変更しました。以前のシステムだと駐車違反で出頭しない違反者の追跡捜査に手間がかかっためです。
そして、駐車違反に駐車監視員制度が導入されて大きく変わったことに、駐車違反の現認の部分を民間委託することにしたことが挙げられます。これが駐車違反に導入された駐車監視員制度の概要です。
駐車違反で出頭しないデメリットなしを悪用
駐車違反に駐車監視員制度が導入されて以降、駐車違反は警察へ出頭しないで放置違反金を払えば手続きは終了。駐車違反で出頭しない場合は違反キップは切られず違反点数も付かないのです。
ただし、それを知らずに駐車違反で出頭すると、警察は違反キップを切らざるをえません。駐車違反の反則金は放置違反金と同額ではありますが、違反点数が付いてしまうぶんだけデメリットなのです。
こうした駐車違反で出頭しないデメリットがないことを逆手にとって悪用して、問題となっていたのが外交官が乗る青ナンバー車両です。外交官・領事官には刑事事件で訴追を受けずに済む「外交特権」が存在するため、交通違反で刑事裁判を受けることはありません。
駐車違反で出頭しない放置違反金を踏み倒す
とはいえ、外交官・領事官といえども、道路交通法を守る義務があります。駐車違反については、出頭しないで違反車両の所有者が放置違反金を支払う仕組みです。放置駐車違反は刑事事件とは直結しないため、外交官・領事官の車両も駐車違反で取り締まりを受けています。
ところが、外交官・領事官にはもうひとつの外交特権として、強制執行を受けないというものが存在。通常であれば、出頭しないで放置違反金を支払わずに逃げ続けていると「滞納処分」として財産差し押えなどの措置(強制執行)がとられます。
ところが、外交官には外交特権があるため、駐車違反で出頭しないで放置違反金を踏み倒してもデメリットがないのです。実際、駐車違反で出頭しないで放置違反金を踏み倒してもデメリットがない点については国会でも取り上げられたことがあります。
駐車違反で出頭しない放置違反金踏み倒しデメリット
駐車違反で出頭しないで放置違反金を踏み倒してもデメリットがない点についての警察庁幹部の答弁によると2018年度は3118件、2019年度には2736件が放置違反金未納で時効になったとのこと。日本駐在の外交官・領事官の人数から考えると、かなりの割合で駐車違反で出頭しないで放置違反金が未納のままとなっていることがわかります。
このため、外務省は対抗措置として駐車違反で出頭しない放置違反金踏み倒しにデメリットを導入。外交官・領事官の車両が駐車違反で出頭しない放置違反金を半年間で4回以上未納した場合、ガソリンにかかる「揮発油税及び地方揮発油税税」の免税に必要な書類を発行しない方針を2021年4月に発表しました。
外交特権には、各種税金の免除もありますが、駐車違反で出頭しないで放置違反金の未納を続けると、この特権が使えないデメリットがあるようにしたのです。
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ラジオライフ編集部
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