NHK集金人の何度も来るしつこい訪問はナビタンで禁止できる？

何度もしつこく家を回り、受信契約を強気で迫るNHK訪問員が通称“NHK集金人”です。NHK集金人は引っ越し先にも何度も来るなど、しつこい訪問に苦慮している人も多いでしょう。NHK集金人は強引な手口によるトラブルも多く、さまざまな人がネットで問題点を指摘しています。しかし、NHK集金人に手をあげたり、攻撃するのはもちろん犯罪行為。NHK集金人が何度も来る訪問はナビタンで禁止にできるのでしょうか。

NHK集金人が何度も来るのは未確認宅を回るため

NHKの契約を迫りに何度も来る集金人とは「委託訪問員」のこと。NHK集金人はNHKの職員ではなく、業務委託をされた業者のスタッフか個人で業務を請け負う契約スタッフのことを指します。NHK集金人は1人で訪問することがほとんどです。

以前はNHK集金人が受信料の集金を実際に行っていましたが、現在は振り込みか自動引き落としなので集金はしません。NHK集金人の業務は、NHK契約の未確認宅から新規受信料契約を取ることや滞納分を納めさせること。NHK集金人が何度も来る理由は、ひたすら契約の未確認宅を回っているためです。

ちなみに、NHKの契約を迫りに何度も来る集金人にはモバイル決済端末が導入されています。NHKの契約を迫りに何度も来る集金人のモバイル決済端末では、キャッシュカードで口座振替の申し込みやデビットカード支払い、クレジットカードで継続払の申し込みと料金支払いが可能です。

NHK集金人は歩合制で、新規1契約に付きいくらという報酬が支払われているようです。NHK集金人の報酬額は15,000円といわれています。それとは別に、エリアの家を訪問する度に、契約の成否とは関係なくNHK集金人は数十円ずつもらえるとのことです。

NHK集金人1件あたりの報酬はおよそ2万円だった

NHK集金人の報酬を詳しく調べてみました。NHKが総務省へ提出した資料によると、2018年度にNHKがNHK集金人に関連する委託会社や地域スタッフに支払った費用は344億円。そして、契約・収納業務スタッフなどのNHK集金人が戸別訪問を行い取れた契約数は175万件となっています。

NHKが支払った費用を獲得した契約数で割ってみると、新規のNHK受信契約1件に対しておよそ「2万円」が、NHKからNHK集金人に関連する委託会社や地域スタッフへ支払われていることになります。NHK集金人に支払っている1契約あたり2万円という金額をNHK受信料と比較すると、地上契約の年1万3990円より高く、衛星契約の年2万4770円より安いレベルです。

すなわち、新規のNHK受信契約に対するNHK集金人の報酬は、だいたい「受信料1年分」ということ。NHKとしては、新規の受信契約に1年分の受信料にあたる金額をNHK集金人に支払っても、翌年以降は自動的に受信料が入るので、収支としては問題がないというわけです。

NHK集金人が迫ってくる受信料一覧
契約種別	支払方法	月額	2か月払額
衛星契約	・口座振替/クレカ継続払	2,170円	4,340円
衛星契約	・継続振込	2,220円	4,440円
地上契約	・口座振替/クレカ継続払	1,225円	2,450円
地上契約	・継続振込	1,275円	2,550円

NHK集金人は未登録宅にひたすら何度も来る

NHK集金人は、委託事業者であることを明記した身分証明書を首にぶら下げ、肩には契約情報を登録する「ナビタン」という情報端末（PDA）をかけています。NHK集金人はナビタンにその際の訪問情報を入力します。

そんなNHK集金人は「全戸点検」という名のもと、任された地域の未登録宅にひたすら何度も来ることになります。しかし、NHK集金人は半年程度で担当者が変わることが多く、その際に引き継ぎが行われていないケースがほとんどだといいます。これもNHKが何度も来る要因です。

このため、事情を説明して契約を拒否してもNHK集金人が再び現れてイチから説明し直すというパターンも多々あるようです。担当者のローテーションと全戸点検により、NHK集金人が何度も来る無限ループする訪問が行われているようです。

NHK集金人に機械のように繰り返す

そんな何度も来るNHK集金人から強引な勧誘に遭った際に、有効とされる対応事例を紹介しましょう。まず、基本にして最強のNHK集金人への対応が「無視」。そもそもNHKの集金人と会話をしなければ、強引に押し切られて契約させられることもありません。

中にはNHK集金人に玄関前で「○○さ～ん！」と執拗にアタックされることもありますが、それでもお構いナシ。仮にNHK集金人にオートロックを突破されたり、玄関先まで来られてもドアを開けずに無視を決め込みます。

仮にドアを開けてしまったら、強引に話を進めようとするNHK集金人に対して「帰って下さい」の一点張りで対応するという手も。機械のように「帰って下さい」を繰り返し、それでもNHK集金人が居座る場合は、不退去罪（刑法130条）が適用される可能性もあるといいます。

NHK集金人の何度も来るしつこい訪問はナビタンで禁止できる？

NHK集金人から名刺をもらって確認

「NHKの○○です」と名乗る集金人のほとんどは、NHKの職員ではなく外部委託業者なので、その場は名刺をもらい会社名などを細かく確認。その上で「怪しいので信用できない」「NHKと直接契約します」などと言って、NHK集金人に引き取ってもらうという例もあるようです。

「知らない相手に個人情報を渡したくないから」とNHK集金人に答えて、Webサイト経由で自分で手続きをすると宣言します。

また、NHK集金人に「受信契約は義務」などと迫られた場合、「裁判して下さい」と対応したケースもあるようです。NHK集金人としては手っ取り早く契約できる相手を探しているので、面倒な相手と思わせられれば成功ということなのでしょう。

NHK集金人はナビタンに契約拒否理由を記録

とはいえ、放送法はテレビ放送を見られる状態にあればNHKと受信契約を結ばなければならないと定めています。このため、NHK集金人に対して「NHKを見ないから」という理由だけでは法律上、NHKとの受信契約を拒否できません。NHK集金人を拒否するためにはテレビを廃棄するなど、確実にNHKが見られない状態にする必要があるのです。

しかし、NHKの契約・収納業務を行っているNHK集金人は、拒否する相手に対して無理やりNHK受信契約を結ばせることはできません。NHK集金人側も、受信契約の数が実績となるため、強く拒否する人を相手にするのは時間の無駄ともいえます。

ただし、NHK集金人に「NHKを見ないから」という理由でNHK受信契約を断り続けた場合、NHKが本気で受信契約を結ぶよう裁判で争ってきた場合、不利になる可能性が出てきます。というのも、NHK集金人は、訪問した家庭の契約や支払いの情報だけでなく、受信契約を拒否した際の理由もナビタンに記録しているためです。

NHK集金人はナビタンから毎日情報伝達

NHK集金人が集めた情報は、ナビタンからNHKが持つ営業システムへ毎日送信されています。そこで、NHK集金人に「テレビはあるけれどNHKを見ない」という理由でNHK受信契約を拒否すると、ナビタンからNHK側へ「その家庭にテレビが設置されている」と伝わってしまうのです。

NHKの受信契約内容を定めた「日本放送協会放送受信規約」によれば、受信料の支払いはテレビを設置した翌月から発生します。もし、NHK集金人に3年間「NHKを見ない」という理由でNHK受信契約を拒否し続けたあとに裁判を起こされて負けた場合、2年11か月分の受信料を支払う羽目になるのです。

NHK集金人が訪ねてきた際は「テレビを所有していない」「アンテナがないのでテレビが受信できない」など、明らかにNHKと受信契約を結ぶ必要がない理由がある場合を除いて、ナビタンに記録される情報を提供するのは控えた方が賢明です。

NHK集金人の何度も来るしつこい訪問はナビタンで禁止できる？

NHK集金人はナビタンに訪問禁止と記録するか？

NHK集金人が何度も来るのに困った人の中には、ナビタンに訪問禁止と記録するよう迫るケースもあるようです。実際、NHK集金人にナビタンで訪問禁止とするよう依頼したところ、成功したという報告もネット上では見受けられます。

NHK集金人がナビタンに訪問禁止と記録するかどうかは定かではありませんが、ナビタンを見て訪問したくないと思わせる方法はあるかもしれません。例えば、NHK集金人がナビタンに記録されたメモに「議論好きで話が長い」とあれば、訪問禁止と同じ効果になるかもしれません。

いずれにしてもNHK集金人はナビタンに訪問先の記録を残すことは肝に銘じておきましょう。NHKのナビタンに訪問禁止の効果を出すために「裁判で訴えてみろ」など話をして「裁判希望」などと記録される可能性もあるからです。

NHK集金人はナビタンにない家に何度も来る

NHK側は、すでに受信契約を結んでいる世帯の住所や、契約通り受信料を実際に支払っているかについて「顧客リスト」として把握しています。

このため、NHK集金人と呼ばれる契約・収納業務スタッフの仕事は、1つはリストに載っていない住所を巡り新規契約を取り付けること、もう1つは受信料未払いの人ところへ行き受信料を徴収することになります。

NHK集金人はNHKから貸し出されるナビタンを持ち歩いていて、このなかには週1回アップデートされる担当エリア内のNHK受信契約世帯リストが保存。そこで、ナビタンのリストに載っていない住宅をNHK集金人はしらみつぶしに当たり、新規契約を迫っていくことになります。

ここでポイントとなるのが、NHKは受信契約を結んでいない世帯の情報は原則として持っていないということ。つまり、NHK受信契約がない住所については、誰が住んでいるかをNHKは把握していないため、空き家かどうかなどの確認も含めて、NHK集金人が何度も来ることになってしまうのでした。

NHK集金人は大幅に削減される方針

NHK集金人による契約・収納業務のほとんどはNHKと契約した委託会社が行っていて、2020年にはこの委託会社が200社以上存在。なかには、エヌリンクスのようにNHK集金人の契約・収納業務を主力事業として株式を上場した企業もありました。

ところが、2021年のある時点からNHK集金人の委託会社が激減し、2022年1月時点でNHKが公開する会社数は26社にまで減ってしまったのです。NHK集金人の委託会社が減った理由について、NHKはしばらく公開していませんでしたが、2022年1月12日に来期の予算案と同時に、NHKはNHK集金人の委託会社との契約を打ち切る方針を発表しました。

NHKは、2022年度予算案とともにその説明資料もWebで公開しています。その内容を見ると2021年度にあったNHK集金人の委託会社の活動エリア117地区を2022年度には29地区に減らすことを表明。また、NHKが予算発表と同時に行った会見では、2023年度にNHK集金人の委託会社をゼロにする方針も示されました。