沖縄にNHK受信料を払わない人が極端に多い理由

払わない人と払う人の割合を示すNHK受信料支払率は、全国平均で「81.8％」。おおむね、大都市やその周辺はNHK受信料支払率が低く、地方へ行くと高くなる傾向となっています。ただし、NHK受信料を払わない人が多いのが「沖縄県」です。なんとNHK受信料支払率は「51.8％」と、全国平均より30ポイントも払わない人が多いというダントツNo.1。沖縄県だけNHK受信料を払わない人が多い理由を見ていきましょう。

沖縄にNHK受信料を払わない人が極端に多い

NHKが発表した、2019年度末の都道府県別受信料支払率を見ると、沖縄県だけ51.8％と極端に払わない人が多くなっています。沖縄県で払わない人と払う人の割合を示すNHK受信料支払率51.8％は、全国平均の81.8％はもちろん、ワースト2である大阪府の68.2％より10ポイント以上も低い数値なのです。

ただし、沖縄県のNHK受信料を払わない人が極端に多いことにはちゃんと理由があります。沖縄にNHK受信料を払わない人が多いのは、全国で沖縄県だけNHKが後発テレビ局だったからです。

NHKが現在のように受信料で運営する特殊法人となったのは1950年で、テレビ放送が始まる前のこと。当時はラジオ放送にもNHK受信料を払う必要があり、しかも民放ラジオ局もありませんでした。このため「ラジオを持つ＝NHKを受信する」ことだったのです。テレビも同様で、本土でNHKのテレビ放送開始前に民放テレビ局が開局した地域はありません。

一方、沖縄県は1972年までアメリカの統治下だったため、そもそもNHKは受信できず、お金を払わない無料の民放テレビ・ラジオ局だけがありました。1967年にはNHK沖縄放送局の前身にあたる沖縄放送協会（OHK）が開局しましたが、NHKと違いOHKは受信料を払わないで視聴できる仕組みでした。

沖縄にNHK受信料を払わない人が多いのには理由

そして、沖縄県の本土復帰にあわせてOHKがNHK沖縄放送局となり、沖縄県民にもNHK受信料を支払う義務が発生します。それまですべてのテレビがお金を払わない無料だった沖縄県に、後からやってきたNHKが受信料を支払えといってきた形です。

こうした経緯から、沖縄県ではNHK受信料を払わない人が本土と比べて多い状態が続いているというわけ。沖縄にNHK受信料を払わない人が極端に多いのにはちゃんとした理由があるのでした。

NHK受信料を払わない人が多い沖縄特有の事情を考慮してか、沖縄県の受信料は本土と比べて割安に設定しています。地上波のみの「カラー契約」のNHK受信料は本土が2か月2520円（口座振替）に対し、払わない人が多い沖縄県は2210円です。

NHK受信料支払率とは関係ありませんが、日本国内で沖縄県に一番多く、隠れた在住者ともいえる在日米軍関係者は、そのほとんどがNHK受信料を払わないといわれています。NHKは受信料が必要という立場ですが、在日米軍側は「税金と同じく日米地位協定で免除のはず」という払わない立場。沖縄のもう1つのNHK受信料を払わない問題は、平行線が続いています。