空港でグランドスタッフが使う無線は何のため?
長期休暇の帰省ラッシュを伝えるニュース映像に、必ず出てくるのが、成田国際空港の出入国の様子と東京国際空港の混雑ぶり。空の旅は搭乗までに時間がかかるため、空港内には大勢の旅客が滞留し、チェックインカウンターから保安検査場まで長蛇の列になります。そんな時に使われる「空港内連絡波」を見ていきましょう。

グランドスタッフが使う業務無線
大勢の旅客を手際よくさばいて、業務を円滑に進めるのが無線です。航空会社や関連会社が、空港内で使う無線は「空港内連絡波」と呼ばれ、情報量が多い無線としてよく知られています。
空港の無線といえば、パイロットと管制官が交信するエアーバンドですが、これはAMモードの無線。空港内連絡波は、航空会社のグランドスタッフ(地上勤務員)が使う業務無線で、FMモードです。大手航空会社の系列にアナログ波の専用波が割当てられています。
保安検査を受けて、搭乗ロビーで出発を待っていると、「東京行き238便をご利用のカワサキタロウ様、いらっしゃいましたら2番ゲートまでお越し下さい。出発時刻が近づいています」といった、アナウンスが聞こえてきたことはあるはず。
グランドスタッフの空港内連絡波
そして、女性グランドスタッフが「東京行き238便をご利用のカワサキタロウ様~」と声を張り上げて、搭乗ロビーを探し回っていたいりします。その時、空港内連絡波からはこんな交信が聞こえてくるのです。
ゲート「こちらゲートのホンダです。東京行き238便の25Aのお客様が10分前ですが、来ておりません。残り1名です」
コントロール「了解、お客様のお名前は?」
ゲート「カワサキタロウ様です」
コントロール「了解、案内放送かけた?」
ゲート「何度か放送しています」
コントロール「ありがとうございます。えっ~と、スズキさん、バゲージ確認しといてもらえますか。238便、25Aのカワサキタロウさんです」
ハンドリング「スズキです。分かりました~」
この交信はチェックインしたものの、搭乗時刻になっても搭乗口に現れない旅客がいる時に、必ず聞こえてきます。搭乗していない旅客が預けた荷物は、テロ対策のため航空機の貨物室から降ろさなくてはなりません。
空港内連絡波は2022年にはデジタル化
このため、早めに対応しないと出発が遅れることに…。そこで、コントロールと呼ばれる責任者が、搭乗口のグランドスタッフや駐機場にいるハンドリングスタッフと連絡を取り合って、荷物を降ろす準備に入ります。
ゲート「東京行き238便のカワサキタロウ様、お手洗いで見つかりました。すぐに搭乗していただきます」
コントロール「了解です。ハンドリングのスズキさん、バゲージはそのままです」
ハンドリング「了解しました」
カワサキタロウさんは、搭乗口まで走らされたことでしょう。もし、現れなかった場合は、コントロールと呼ばれる責任者が判断して、荷物を降ろす指示を無線で伝えます。
これはアナログ波を使っている中小空港での交信ですが、既にIP無線に転換した空港もあり、アナログ波の空港内連絡波は2022年までにはデジタル化されるでしょう。
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ラジオライフ編集部

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