短波放送のラジオが現在でも続いている理由とは
アジア地域の短波放送には、日本に向けた日本語放送があります。特に東西冷戦下では多くの短波放送で日本語放送が急増。1970年代にBCLがブームになりました。しかし、現在は多くの短波放送局がネットラジオに移行しています。それでもなお、ラジオの短波放送が続いている理由を見ていきましょう。

短波放送で外国への宣伝活動を行う
日本国内のラジオ放送は、主にAMラジオの中波帯とFMラジオのFM帯で放送されています。これは、県内のラジオ局は県内をサービスエリアとするためです。大都市圏のラジオ放送は隣県にも電波を飛ばしていますが、これは例外的なもの。ラジオ放送の基本は県内で収める県域放送です。
見通し距離が電波の到達距離になる、FMラジオ放送だとイメージしやすいでしょう。夜になると1,000kmくらい飛ぶAMラジオ放送は混信して、日中は遠距離になるとノイズが多くなるので、実質的には県域放送です。
対して、短波放送の短波帯は昼夜を問わずに遠くまで伝わり、海外へも飛んでいきます。地球の裏側まで届く電波もあるほど。この特性を利用して、外国への宣伝活動を行ってきたのが短波放送です。
大空を飛んでいくラジオの電波に国境はありません。国家の体制が違っていても、電波は国内に飛び込んできます。それゆえ、独裁国家は敵対国への謀略放送を行ったり、自国へ向けられた放送を妨害して、自国民を真実から遠ざけようとします。
短波放送が先進国によって行われる
相手国の全土に届くラジオ放送を行うには、より遠くまで飛ぶ電波に乗せなければなりません。特に短波帯は数千kmも飛ぶので、海外ラジオ放送の主用波となっており、広い帯域に国際的な割当てがあります。
特に東西冷戦下の1950~1980年代は、両陣営で国家レベルのプロパガンダ放送を相手陣営の国民に対して行っていました。そんな時代背景もあり、政治的な理念だけではなく、自国をアピールするため、相手国の言語を使った短波放送を行う国が増えていったのです。
しかし現在は、世界規模でインターネットが普及したことで、多くの短波放送局がネットラジオに移行。短波放送は大きく縮小しています。しかし、インターネットが全土に普及していない発展途上国や、情報統制を行っている国では今でも短波放送が続けられているのです。
また、北朝鮮や国内情勢が不安定な地域に向けた短波放送が、先進国によって行われていたり、布教を目的とした宗教局の中には短波放送を継続し続ける局もあります。短波放送は相手がラジオさえ持っていれば、どんな地域にいても、遠くから情報を伝えることができるからです。
■「ラジオ」おすすめ記事
FM補完放送の開始で2015年はラジオが変わる
南日本放送のFM補完放送をAMラジオと聞き比べ
海外短波放送が定期的に周波数を変えている理由
BCLラジオのおすすめはソニーを超えたPL-880
ラジオおすすめの1台はソニーのICF-M780N
ラジコの全放送を無料で地域外で聞く方法とは?
今も届く北朝鮮の乱数放送の「暗号」を読み解く
「radiko」以外で使える公式ラジオアプリ4選

ラジオライフ編集部

最新記事 by ラジオライフ編集部 (全て見る)
- 警視庁でデスクワーク部署の配属希望が多い理由 - 2023年3月29日
- よく出る台が分かるパチンコ屋の秘密のサイン? - 2023年3月28日
- NHK衛星契約の断り方でBSアンテナが見える場合 - 2023年3月28日
- TVerが大リニューアルして進化したポイントとは - 2023年3月28日
- DVDFab12の使い方で違法行為をしないための設定 - 2023年3月27日
この記事にコメントする
この記事をシェアする
あわせて読みたい記事

VHF帯放送連絡波はテレビ局へどう割当てている?

マスコミ無線の主力「VHF帯放送連絡波」聞き方

ウクライナ侵攻の影響で海外短波放送が送信縮小

NHK放送センター建て替え費用1700億円は妥当?
オススメ記事

悪質な盗撮犯罪は年々増加傾向にあります。警察庁によると、2021年の盗撮行為による検挙件数は5019件で過去最多を更新。盗撮犯罪は1930件だった2011年から10年間で2倍以上に増えたことに[…続きを読む]

テレビ番組の盗聴特集などを見て、自宅に盗聴器が仕掛けられていないか気になった人は多いでしょう。盗聴器の見つけ方は、そんなに難しいものではありません。そこで、盗聴器の見つけ方をいくつか紹介しまし[…続きを読む]

圧倒的ユーザー数を誇るLINEは当然、秘密の連絡にも使われます。LINEの会話は探偵が重点調査対象とするものの1つです。そこで、探偵がLINEの会話を盗み見する盗聴&盗撮テクニックを見ていくと[…続きを読む]

盗聴器といえば、自宅や会社など目的の場所に直接「盗聴器」を仕掛ける電波式盗聴器が主流でした。しかし、スマホ、タブレットPCなどのモバイル機器が普及した現在、それらの端末を利用した「盗聴器アプリ[…続きを読む]

おもちゃの缶詰は、森永製菓「チョコボール」の当たりである“銀のエンゼル”を5枚集めるともらえる景品。このおもちゃの缶詰をもらうために、チョコボール銀のエンゼルの当たり確率と見分け方を紹介しまし[…続きを読む]