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NHKが受信契約を争う裁判で「負けた」ウラ事情

NHKとの受信契約を結びたくない人がいま大注目しているのが、NHKの放送だけ見られなくする装置「イラネッチケー」です。というのも、イラネッチケーでNHK受信契約を断ろうとした視聴者が、NHKとの民事裁判で勝訴したためです。NHKが受信契約の裁判で負けるのはよくよくのこと。何があったのでしょう。


NHKが受信契約義務を争う裁判で負けたウラ事情


NHKの受信契約は結ぶ必要がない?

「イラネッチケー」は、テレビと受信アンテナを接続するケーブルに取り付ける周波数フィルターです。イラネッチケーのフィルターは、NHKがテレビ放送に利用する周波数帯のみカットする仕組みのため、取り付けるとNHKだけが受信不可能になります。

NHKがテレビで使う周波数帯は送信所ごとに違うため、イラネッチケーには地区ごとにカットする周波数が異なるバージョンが存在。現在販売されているのは、東京スカイツリー(関東広域)・生駒山(関西広域)・瀬戸デジタルタワー(東海広域)に対応した地上波用と、BS放送用の4種類となっています。

放送法では、NHKとの受信契約について「協会(=NHK)の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない」と定めています。そこで、イラネッチケーを取り付けNHKが受信不可能となった場合、受信契約を結ぶ必要がないとも考えられます。


NHK受信契約の必要がないと争う裁判

しかし、過去に「イラネチケーを取り付けたのでNHK受信契約の必要がない」と視聴者がNHK相手に争った裁判では、これまで視聴者側へ有利な判決は出ていません。まず、2016年に東京地裁で出た判決は、イラネッチケーは容易に取り外し可能という理由で、NHK受信契約の解約を認めませんでした。

そこで、イラネッチケーを接着剤等で固定して容易に外れないようにした状態にしたうえで、NHK受信契約の解約を争う裁判も行われています。しかし、こちらもNHK側の「固定されていても外すことが可能」という立証が認められてしまい、解約は認められませんでした。

ところが2020年6月29日、イラネッチケー内蔵テレビを所有していた視聴者が「NHKとの受信契約義務がない」ことの確認を求めていた裁判で、東京地裁は視聴者側の訴えを認める判決を出しました。NHKが受信契約の裁判で負けることは珍しいことですが、どうした事情があったのでしょうか?


NHK受信契約の裁判で敗訴したが控訴

実は、今回NHKと争った視聴者はイラネッチケーを自分で取り付けたのではなく、最初からイラネッチケー内蔵のテレビを購入しています。視聴者はイラネッチケーの取り付け方を知らないため、NHKがこれまで主張していた「容易に取り外しができる」という理屈が成り立ちづらいのです。

そこで、NHK側は「ブースターを取り付ければNHK受信状態を復元できる」と主張して裁判を争った模様。しかし、判決では「増幅器(ブースター)の出費をしなければ受信できないテレビは、NHKを受信できる設備とはいえない」ということで、NHK側の主張を認めませんでした。

東京地裁でのNHK受信契約の裁判で敗訴したNHK側は、7月2日の会長記者会見で控訴することを発表したため、判決はまだ確定していません。また、特定チャンネルが映らないテレビはテレビ受信機についての規格「ARIB STD-B21」を満たさないため、大々的に市販されることはまずないでしょう。

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ラジオライフ編集部

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