2028年のAMラジオ廃止でNHKのラジオはどうなる?
2014年から本格的に始まった民放AMラジオをFMラジオで同時送信するFM補完放送は、対応ラジオが増えたこともありFMでAMラジオ放送を聞く人が増えています。このため、AMラジオを廃止しFM1本にしようという動きが民放局内であり、2028年がその目標とされています。AMラジオの廃止で、NHKのAMラジオ放送はどうなるのでしょう。

民放局の多くはAMラジオを廃止する
AMラジオの停波については、民放のAMラジオ局からの要望を受けて検討されているものです。民放のAMラジオ局は、全局がFMラジオでの同時放送を実施中。FMラジオでの同時放送は「FM補完放送」と呼ばれ、文字通りAMラジオを「補完」するためにスタートしました。
AMラジオをFMラジオで補わなくてはならない理由は、とくに都市部でAMラジオを受信することが難しくなっているためです。AMラジオが使用する中波帯は、電子機器や太陽光発電施設が発生するノイズが混信しやすい周波数帯で、VHF帯を利用するFMラジオの方が受信しやすい場所が多くなっています。
FM補完放送が利用する周波数帯は、これまでのFMラジオ局より高い90.1~94.9MHzとなっており、この周波数帯には「ワイドFM」という愛称が付けられています。現在国内で販売されるFMラジオは、カーナビも含めワイドFM対応となっているほか、アナログ時代のテレビ音声を受信できたラジオでも聴取可能です。
AMラジオを廃止しない民放3局の理由
とはいえ、AMラジオ局にとってはAM・FM両方の設備を用意することになるため、AMラジオのみ放送する以上にコストがかかります。そこで、大がかりなアンテナ設備が必要なAMラジオは廃止してしまい、「補完」だったFMラジオをメインにしようという動きが2019年から出始めたのです。
AMラジオ局側から総務省へ出されたAMラジオの停波要請について、総務省は2021年6月に容認すること決定。停波の時期については、2028年度までを目標とすることになりました。なお、AMラジオ局のうち北海道放送(HBC)・札幌テレビ放送(STV)・秋田放送(ABS)の3局はAMラジオを停波しない方針です。
AMラジオを継続する3局に共通するのが、サービスエリアとなる北海道・秋田県の面積が広いこと。例えば秋田放送の場合、親局となる秋田局のほか、中継局5局の合計6局体制でカバーしています。ところが、FMラジオに完全移行する場合は40局以上の中継局を新設する必要があるのです。
AMラジオを廃止しないNHKは1波体制
民放AMラジオ局のほとんどがAMラジオを停波するなか、NHKはAMラジオを引き続き放送する予定です。というのも、NHKが行うFMラジオ放送「NHK-FM」はAMラジオとは完全に別番組で、NHKラジオ第一・第二のAMラジオ局を「補完」するFMラジオ局が存在しないためです。
しかし、NHKは経営をスリム化するという理由から現在放送中のラジオ第一・ラジオ第二を統合し、AMラジオ1波体制への移行を検討することになっていました。この方針は、2021年1月に正式決定された「NHK経営計画(2021~2023年度)」に盛り込まれたものです。
ところが、2022年10月にNHKから出された「NHK経営計画(2021~2023年度)」の改正案では、AMラジオ1波体制の検討に関する文言が削除されているのです。ただし、この改正案は現在NHK経営委員会で審議中のため、AMラジオ1波体制の検討については復活する可能性も残されています。

ラジオライフ編集部

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