盗聴音声はそれほどスキャンダラスな内容ではない
悪意ある人間が個人の情報を得るために音声を拾うために仕掛けた無線機器が盗聴器。その音声からは、声の主の意思や行動とは全く無関係にプライバシーの一部始終が盗聴波から聞こえてきます。盗聴波とは、そんな盗聴器から発射される電波のことです。はたして、盗聴器から漏れてくる盗聴音声はどんな内容が多いのでしょう?
盗聴音声を電波に乗せて飛ばす
盗聴波は、情報収集器として売られている電波発信器を、悪意を持って音声を拾う盗聴器として使用した時の電波です。盗聴器をターゲットの家・店舗・オフィスの音声を盗聴するために取り付けたり、ホテルの音声を盗聴するために客として入室。客室の音声を発信する盗聴器に仕掛けていくこともあります。
音声を拾って飛ばす盗聴器は極めて小型で隠しやすく、中には日用品に擬装したタイプもあるので、その存在には気が付きにくいもの。盗聴器に内蔵された超小型マイクが室内で発せられる音声をかき集めて、電波に乗せて飛ばします。この電波を仕掛けた当人が受信して、盗聴音声から他人の秘密を暴いたり、相手の様子をうかがっているのです。
音声を電波に乗せて飛ばす盗聴器の種類としては、大きく「電池式」と「AC電源式」があります。電池式の盗聴器は設置場所の自由度が高く、即座に取り付けられて盗聴音声を発信するのがメリット。一方、電池の消耗とともに盗聴音声の飛距離が短くなり、1週間程度で停波するのがデメリットです。聞こえてくる盗聴音声の内容には差はありません。
盗聴音声で怪しげな会話や男女の色事
AC電源式の盗聴器は、安定した盗聴音声の電波を半永久的に発射し続けることが最大のメリット。ただし、コンセントにしか設置できないため盗聴音声もその付近に限定されます。
音声を電波に乗せて飛ばす盗聴器を仕掛ける行為は、不法な侵入を伴ったり、コンセント内部への盗聴器の取り付けなど、電気工事士の資格が無ければ違法。法律を犯してまで盗聴器を仕掛けて聞きたいという盗聴音声の内容は、とても興味のあるところです。
しかし、一般家庭・店舗・オフィスなどから出ている盗聴音声はそれほど、スキャンダラスな内容ではありません。一般家庭からの盗聴音声は生活音や日常の会話、店舗やオフィスからは接客の様子や人の気配、電話対応の音声など。盗聴音声は仕掛けた人間には有用な情報でも、第三者には単なる会話にしか聞こえないものがほとんどです。
それでも時には、盗聴音声で怪しげな会話や男女の色事も聞こえてきます。ラブホテルの枕元のコントロールパネル内に、音声を拾うためのAC電源式盗聴器を仕掛けられると、盗聴器の知識がない限り発見はほぼ困難。この盗聴器から発せられる盗聴音声は半永久的に男女のプライバシーを周辺にバラまくことになります。
盗聴音声はどこで拾っているのか?
一般家庭に仕掛けられる盗聴器は、どこにセットされて音声を拾っているのでしょうか。音声を盗み聞く盗聴器は身内によってセットされる場合もあります。家庭内は、浮気から遺産相続まで、骨肉の争いが絶えないケースが多いため、盗聴音声が狙われるのです。
こうした場合、盗聴器を仕掛ける側が室内に出入りできるため、設置に時間のかかるものの半永久的に盗聴音声を発信するAC電源式の盗聴器をセットすることも可能。AC電源式の盗聴器は、テレビの裏側やコンセントの中、電話機の中など、見つかりにくい場所に仕掛けられて盗聴音声を発信します。
電池式の盗聴器でも電池交換できるので、盗聴音声をくまなく拾うことを重視して照明器具の上やエアコンの上などに設置するケースも目立つのが特徴です。マンションやアパートの場合、部外者が外からセットできる新聞受けの中も、音声を電波に乗せて飛ばす盗聴器が仕掛けられているかチェックすべき場所になります。
盗聴音声を発信し続けるマルチタップ
盗聴音声を拾う場所1つめは「エアコン周辺」。高い位置に設置すると、ターゲットが部屋のどこに居ても盗聴音声を拾えることから、エアコン周辺やエアコン内部にセットされることが多いといいます。
盗聴音声を拾う場所2つめは「照明器具の上」です。エアコン同様、部屋全体の音声が拾える場所に、電池式の盗聴器が仕掛けられます。
そして、盗聴音声を拾う場所3つめは「コンセント周辺」です。三又コンセントやマルチタップに偽装された盗聴器が音声を拾うために仕掛けられることは珍しくありません。盗聴器に常に電気を供給できて、盗聴音声を発信し続けることが狙われる理由です。
盗聴音声をボイスレコーダー録音
盗聴音声を拾う場所4つめは「電話機周辺」。コンセント同様、電気供給もできることから電話機本体周辺や回線周辺に電話の音声を拾う盗聴器が仕掛けられます。そして、電話の盗聴音声を電波で飛ばすのです。
盗聴音声を拾う場所5つめが「新聞受け」です。マンションやアパートなどの共同住宅では、玄関ドアに付いていることが多い新聞受けは、音声を電波に乗せて飛ばす電池式の盗聴器が仕掛けられやすい場所。ドアの外から盗聴器をセットできて音声も拾えて、電池交換までできるからです。
盗聴音声を拾う場所6つめは「テーブルの裏側」。家に自由に出入りができると仮定すると、盗聴器のみならずボイスレコーダーをテーブルの裏側に貼り付けて音声を録音するケースも考えられます。
盗聴音声は仕掛けた人間には有用な情報
それでは、こうして仕掛けられた盗聴器から聞こえる盗聴音声の具体的な内容を見ていきましょう。例えば、独身の部屋に仕掛けられた盗聴器の電波の場合、盗聴音声に会話は一切ありません。
以前は電話をする声が盗聴音声として頻繁に聞こえてきたものですが、今はスマホでメッセージを送る時代。盗聴音声としては生活音だけが聞こえてきます。第三者には、何の盗聴音声を目的に仕掛けられたのかは分かりません。
オフィスや店舗に仕掛けられた盗聴器からは、人が動く音や電話対応の声、接客の様子などが盗聴音声で頻繁に聞こえてくるので一般家庭よりも活気があります。
これらの盗聴音声は盗聴器を仕掛けた人間には有用な情報なのでしょうが、第三者にはごく普通の会話にしか聞こえないものです。なお、飲み屋などの店舗からの盗聴音声は、経営者が従業員の監視用に仕掛けるケースが多くなります。
盗聴音声はラブホテルのアノ声を垂れ流し
ラブホテルの盗聴音声でも、従業員監視用にフロントに取り付けられる場合があります。しかし、中には客室に仕掛けられるケースもあり、男女の“アノ声”が盗聴音声で垂れ流しになることに…。とはいえ、行為の最中に会話が聞こえてくることは少なく、期待しているほどの盗聴音声ではないかもしれません。
実は盗聴器の盗聴音声を聞いても、あまり面白い話は聞こえてこないのが現実です。それでも盗聴音声を探す受信マニアが存在するのは事実。彼らの目的は盗聴音声で聞こえてくる内容ではなく、電波が出ている発信源の建物を特定することにあります。
盗聴音声の電波は弱く、遠くまで飛びません。盗聴音声を近くにいる仕掛けた本人だけが受信できるようにするためです。盗聴音声は自宅に大きなアンテナを立て、じっくり聞くような無線ではなく、仕掛けられていそうな人の多い場所へ移動して受信します。
盗聴音声が見つかる場所の多くは建物が密集
盗聴音声を受信する魅力は、謎の電波を探し出すことにあります。繁華街やオフィス街、住宅街など、人が集まる場所で盗聴音声をキャッチ。ここが探索のスタート地点で、アンテナの向きを変えながら、盗聴音声が飛んで来る方角に見当を付けて、電波の強弱から盗聴器が仕掛けられている発信源に迫っていくのです。
盗聴音声の発信源の探索には、通過するバイクの音や救急車のサイレン音などを利用。盗聴音声から聞こえるそれらのエンジン音やサイレン音の強弱で、発信源を特定してきます。
盗聴音声が見つかる場所の多くは建物が密集しているので、電波の反射など一筋縄では辿り着けません。電波の知識に加えて、盗聴音声探しならではの受信テクニックが必要になります。盗聴音声を探す受信マニアは、電波の探索を楽しんでいるのです。
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ラジオライフ編集部
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