盗犯を追う捜査三課の元刑事が教える空き巣対策
警察の刑事というと、ドラマでおなじみの捜査一課をイメージする人が多いでしょう。実は、刑事部には「一課」のほかに「二課」と「三課」「四課」があります。捜査一課が殺人や強盗といった強行犯を扱う一方、二課は「知能犯」、三課は「盗犯」、四課は暴力団等を担当。捜査三課の仕事を見ていきましょう。

捜査三課の担当する盗犯は件数が多い
捜査三課の担当する「盗犯」とは窃盗を指し、空き巣や引ったくりから万引き、自転車泥棒まで、対象となる犯罪は多岐に渡ります。そして、盗犯は捜査二課の知能犯と違い、同じような手口で行われる可能性が高いことが特徴です。
そのために、捜査三課には家宅侵入や窃盗の手口を捜査する「手口係」といった専門部署があるほど。長年培った実績や経験が重要視される仕事なのです。
とはいえ、空き巣でも「ピッキング」や「サムターン回し」といった、特殊道具が使用されるような新たな手口も生まれています。その点において、経験だけに頼ることができない仕事ともいえるのです。
捜査三課の特徴としてもう1つ挙げられるのが犯罪件数の多さ。捜査一課の強行犯や二課の知能犯と違い、盗犯はそれこそ毎日のように発生します。2018年度の警察の犯罪認知件数は約80万件。そのうち、なんと71%が窃盗犯です。
捜査三課は本部と所轄の連携が大切
このため、捜査三課が追う犯人はスリや空き巣、車上狙いのようなプロから、万引きをした主婦や学生、無施錠の自転車を拝借したサラリーマンまで幅広くなります。
犯罪件数が多ければそれだけ被害を受ける市民の数も多いわけで、交番や警察署への通報のほとんどは、盗犯といっても過言ではありません。あまり小さな事件なら、本格的な捜査が行われることはなく、交番や所轄で対処されます。
とはいえ、自転車泥棒や万引き犯が、実は大きな事件に関わっていたという可能性もあります。それを見逃さないために、本部と所轄との連携をより密にしておかなければならない部署が、捜査三課といえるでしょう。
そんな捜査三課で長年、空き巣や窃盗事件と対峙してきた元刑事によると、空き巣は「家に入るのに5分、入ってから5分」といいます。すなわち、10分以内ですべての仕事を片付けることがセオリーです。
このため、空き巣から家を守るには「5分で入らせない家づくり」をするのが鉄則と話してくれました。泥棒はより短時間で侵入できる家を探しているので、時間がかかりそうだなと空き巣に思わせるような防犯対策が効果的なのです。