自衛隊のパラシュート部隊で使われる無線とは?
陸上自衛隊の最精鋭部隊が「第1空挺団」です。その任務は航空機からパラシュート降下して、敵地の要所を急襲制圧。友軍が進出して来るまでの時間、空挺隊員は少ない兵力と小火器で要所を確保しなければなりません。その訓練を見ることはできませんが、航空祭では輸送機からの空挺降下を披露します。

空挺作戦成功のカギは降下の無線誘導
第1空挺団は陸上自衛隊の部隊ですが、空挺隊員が降下に使用する航空機は、航空自衛隊が運用する「C-1」「C-2」「C-130H」といった輸送機です。空挺降下は陸上自衛隊と航空自衛隊の共同作戦になります。
空挺降下で最重要なのが、目標地点に確実に降下すること。実戦では敵制圧地域への降下になるので、降下地点がズレてしまうと、部隊集結が遅れて各個撃破。部隊は大損害を被るからです。
上空を航過する輸送機から確実に降下するためには、風を考慮した地上からの誘導が必要になります。航空機から見えるように対空布板を敷いたり、発煙筒や鏡で太陽光を反射させるなどしますが、最終的には地上から無線で誘導します。
先遣部隊に降下人員を無線で知らせる
地上から輸送機を誘導する先遣部隊のコールサインは「ブルー1」。航空機側のコールサインは輸送機の種類によって異なり、「コメット」や「コスモ1番機」のような管制で使用するコールサインとは別になります。
降下地点に輸送機「コスモ1番機」が近づくと、ブルー1が気象状況を送って降下可能を伝達。輸送機は「ブルー1、コスモ1番機。これより最終進入。今回右トビラ5名、左トビラ5名」と降下人員を告げます。
ブルー1は「コスモ1番機、進入点よし、少し左、コースよし、そのまま進入」。そして「コースよし、コースよし。よーい、よーい、よーい、降下、降下、降下!」を告げると、空挺隊員は輸送機のトビラから飛び出し、パラシュートを開いて降下していきます。この際に使われるのが300MHz帯の周波数です。
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ラジオライフ編集部

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