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オービス取締りは「撮影に関する制限」があった

今のオービスは、その方式に関わらず速度違反の撮影にはデジタルカメラが使われています。かつてのフィルム式カメラと違いフィルム切れの心配がないので、バシバシスピード違反者を撮影してよさそうにも思えますが、赤キップの速度違反しか取り締まっていません。実は、オービスの取り締まりには撮影に関する制限があるのです。


オービスの取締りには撮影に関する制限があった


オービスの撮影には判例で厳しい制限

オービスによるスピード取り締まりは、ループコイル・レーダー・レーザーなどの方式で自動車のスピードを測定。スピード違反車を見つけたら前方から撮影します。そして、写った運転手の顔とナンバープレート、測定スピードの3点セットがスピード違反の証拠となり、後日警察署に呼び出されて違反キップが切られます。

かつてはこの撮影にはフィルム式カメラが使われていましたが、現在稼働中のオービスはデジタルカメラで撮影を行い、画像は通信回線で中央制御装置に送信、保存されます。この方式であれば、撮影回数に事実上制限がないため、極端な話スピード違反の有無にかかわらず全部の走行車を撮影・保存することもできてしまいます。

しかし、もし警察がそんなことをすればプライバシーもへったくれもない話になり大問題です。スピード違反をしたとされた場合に限っても、撮影とプライバシーとの関係を巡り裁判となったケースが数多くあり、その判例によりオービスの撮影には厳しい制限がかけられているのです。


オービスは軽い違反を取り締まれない

まず、オービスに限らず警察が捜査のため写真撮影を行う場合、それが許されるのは「現に犯罪が行なわれもしくは行なわれたのち間がないと認められる場合であつて、しかも証拠保全の必要性および緊急性があり、かつその撮影が一般的に許容される限度をこえない相当な方法をもつて行なわれるとき」という判例があります。

これは、デモ隊を巡る事件で1969年12月24日に最高裁大法廷が出したものですが、オービスによる取り締まりも従う必要があります。というのも、最高裁大法廷が憲法との関連で出した判例は重く、これに従わないで警察が撮影した写真は、確実に証拠と認められないためです。

また、オービスに直接関係する東京簡易裁判所の判例もあり「設置場所にもよるが、制限速度を多少超えた程度にセットして写真撮影することは相当ではないものと言わなければならない」(1980年1月14日)となっています。つまり、軽いスピード違反についてはオービスで取り締まってはいけないということです。


新型オービスでは青キップも取締り

こうした判例があるため、警察はオービスによるスピード取り締まり速度の設定を悪質性が高い赤キップの違反、つまり一般道であれば30km/h以上、高速道路では40km/h以上にしているようです。実際、警察庁が公開した資料でも30km/h以下のスピード違反はほぼオービスで取り締まられていません。

ところが、最近こうした事情が変わりつつあります。というのも、全国各地で導入が進む可搬式の新型オービスについては、15~29km/hオーバーの青キップにあたるスピード違反の取り締まりが相次いで明らかになっているのです。

恐らく、警察はさきほど挙げた判例にある「設置場所にもよるが」の部分を拡大解釈して「15~29km/hオーバーでも十分悪質」とみなしたポイントで青キップの取り締まりを始めたと考えられます。まだ裁判になった例はありませんが、今後どのような判断が下されるかが注目です。

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