防災相互波158.35MHzは消防本部に1波だけ残る150MHz帯のアナログ周波数
2016年5月31日をもって、150MHz帯の消防無線はデジタル化され、270MHz帯へ移行しました。アナログ消防無線として残っているのは、466MHz帯の署外活動系(署活系)だけですが、実は消防本部には1波だけ150MHz帯のアナログ波が残っています。防災相互波158.35MHzは消防本部に1波だけ残る150MHz帯アナログ無線の周波数です。
防災相互波158.35MHzは異なる防災機関が交信
防災機関相互通信用無線(158.35MHz/FMモード)は、略して「防災相互波」と呼ばれます。防災相互波は一般的な無線にはできない、組織の異なる防災機関同士が連絡を取れるように用意された全国共通波です。
防災相互波は1975年から整備が始まった周波数で、ひとたび発災すると大規模化するコンビナート火災で海上保安庁、周辺消防本部、各企業の自衛消防隊が相互に連絡ができるように各組織に割当られた無線です。
現在、防災機関相互通信用無線は多くの消防本部にも割当てられており、自治体や警察本部などの防災を担う組織、ライフライン会社や鉄道会社、大規模病院、地域によっては報道機関にも防災相互波を運用できる無線機が用意されています。
防災相互波の周波数を署活系の無線機にセット
防災相互波は便利な反面、活用されていない周波数であるのが実情。東日本大震災でも救助にあたる機関の横の連係がうまくいかなかったという教訓を活かし、「防災相互波の使用ルールを作って活用するべき」という意見が出ています。
防災機関相互通信用無線の主旨からいって、防災相互波を受信できる機会はほとんどありません。考えられる防災相互波を受信できる機会はコンビナートの防災訓練や、比較的規模の大きな防災訓練。防災組織が多数集まれば防災相互波は開局する可能性があります。
防災相互波はVHF帯だけではなく、UHF帯の466.7750MHz(FMモード)にも周波数割当てがあります。消防本部では466MHz帯の署活系の無線機に、防災相互波である466.7750MHzがプリセットされて広く配備されています。
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takehiko
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