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NHK受信料がスマホにも必要という結論になった意外な理由

スマホに内蔵されるワンセグ受信機能は、災害でネットなどが使えなくなったときに役立つものの、最新スマホの多くはワンセグ受信機能なしとなっています。その理由のひとつが、裁判でワンセグ付きスマホだけ持っていてもNHK受信料を払わなくてはならないという判決が出たこと。じつは、NHK受信料がスマホにかかる理由には意外な商品の存在があったのでした。


ワンセグスマホにNHK受信料がかかる意外な理由


NHK受信料がスマホにも必要という判決

スマホや携帯電話に内蔵されるワンセグ受信機能は、それを目的に購入・利用する人が少ないことから、NHK受信料が必要かどうかはワンセグ放送の開始当初から議論されてきました。NHKは、当然ながらワンセグスマホにもNHK受信料が必要との立場で、受信契約を結びたくない人との間で何度も民事裁判が行われています。

そして、ワンセグ機能付きスマホとNHK受信料に関しては、過去に一度「NHK受信契約を結ぶ必要がない」という判決が出たことがあります。2016年8月23日にさいたま地裁が出した判決で、ワンセグ機能付き携帯電話のみを所有する埼玉県在住の人が、NHKを相手に民事訴訟を起こしたものです。

この判決では、ワンセグ付き携帯電話のみではNHK受信契約が不要な理由をいくつか挙げていますが、そのひとつが放送法にあるNHKを受信可能な設備の「設置」にならないというものです。さらに、放送法が作られた1950年に携帯型テレビは存在せず、ワンセグ受信にNHK受信契約が必要なら法改正をすべきとも指摘しています。

しかし、この判決に不服だったNHK側が東京高裁へ控訴。2018年3月25日の控訴審判決では、逆にNHK側の主張が認められ「NHK受信契約が必要」という内容になりました。今度は、埼玉県在住の人が最高裁へ上告しましたが受理されず、東京高裁の判決が確定しています。


NHK受信料がスマホにも必要という結論

東京高裁の判決も、さいたま地裁が指摘した、ワンセグ携帯が放送法上のNHKを受信可能な設備の「設置」にならないという点について触れています。ただし、東京高裁判決では、1950年当時から携帯ラジオが存在し放送法はNHK受信契約の対象と想定していたと、さいたま地裁と逆の結論になっているのです。

1950年といえば、日本ではテレビ放送が始まっておらず、NHK受信契約の対象となるのはラジオ放送のみ。そして、受信するラジオにもトランジスタではなく真空管が使われていた時代です。1950年当時に、ワンセグ機能付きスマホのような小型ラジオがあったのでしょうか。

日本の古いラジオを収集する「日本ラジオ博物館」のWebサイトを見ると、1940年代後半には国産メーカーからも携帯型ラジオが発売。当時は、小型真空管「MT管」が市場に出回るようになったころで、早川電機工業(現シャープ)などが競って携帯型真空管ラジオを発売していたのです。

真空管ラジオのため、ポケットに入るような小型サイズではありませんが、取っ手を持てば持ち運べる作り。内蔵アンテナもあり、携帯できるとはいえそうです。それがすべてではありませんが、これら携帯型ラジオの存在が、NHK受信料はスマホでも必要という判決を導いた理由のひとつであることは確かです。

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