200km超えのFM遠距離受信も可能な山岳回析とは
ラジオの遠距離受信といえばAMラジオ放送ですが、夜間のことなので行動範囲も限られてきます。そこで昼夜を問わず、電波が安定しているFM波に注目してみましょう。昼間であれば人里離れた山の上から遠距離局を狙ったり、電車で移動しながらのアクティブな受信が楽しめます。山岳回折を利用してFMラジオ遠距離受信に挑戦しましょう。
FM波の遠距離受信に山岳回析を利用
ラジオ放送のFM波は、遠距離受信には不向きだと多くの人が思っていることでしょう。それもそのはず、AM波のように夜間の電離層反射が恒常的にできるわけではなく、電離層反射によるFM波の遠距離受信は、スポラディックE層の発生という偶発性に左右されるからです。
そのため、ラジオ放送の遠距離受信マニアの多くは、AMラジオ放送や海外短波放送をメインに活動しています。FM波の遠距離受信は少数派です。
しかし、ここ数年でkW級のFM補完中継局が増設され、受信対象が急増しています。また、AM波の受信で厄介な海外局の混信・妨害に悩まされずに高音質で受信でき、番組内容から放送局を判別しやすいのは、大きなメリットです。
以前とは受信環境が変わってきているとはいえ、FM波はVHF帯の特性から見通し範囲内での受信になります。この原則にとらわれていると「FM波の遠距離受信は難しい」となりますが、移動受信や八木アンテナの使用、山頂を越えて飛んで行く山岳回折という現象を最大限に利用すれば、FM波でも遠距離受信が楽しめるのです。
FM波の遠距離受信は電波を捕りに行く
山岳回折はVHF帯の特性で、山頂に達したFM波が山頂を点波源として、そこから裏側へと飛んで行く現象のこと。山頂が急峻な程起こりやすく、山岳回折利得で電波が強くなることもあります。
そこで、見通し距離が稼げる山に登ったり、開けた海岸に出たりと各地を飛び回って、ある種のレジャー気分でFM波の受信調査をするのです。地図を見て目星を付けた受信できそうな場所へ、ラジオを持って出発。場所によっては思っていたほど受信できないこともありますが、失敗という結果も1つのデータになります。
「何で受信できないんだろう?」という疑問を考察した上で、地図に送信所と受信地間の線を引いて地形を確認したり、場所を変えるなどの試行錯誤をして受信調査を重ねていきます。
面倒な作業ではありますが、次第に楽しくなってくるのがFM波の遠距離受信の醍醐味。電波を“拾う”のではなく、自分の足とアイデアで電波を“捕りに行く”のです。
既成概念にとらわれず、皆さんもFM波の遠距離受信にチャレンジしてみて下さい。地域が変われば聞こえてくるラジオ局も、ガラッと変わってきます。高所で山岳回折を使うと、200km超えの受信も可能です。(文/武田晃)
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