ネットの活用法や便利なアプリ、お得な買い物テクニックなど知って得する情報を毎日更新しています。

イラネッチケーでNHK受信契約は拒否できるのか

NHKの受信契約は、NHKが映るテレビを持つ人に結ぶ義務があると定められています。であれば、NHKが映らないテレビを作ってしまえば、NHKの受信契約が不要とも考えられ、それを実現した装置が「イラネッチケー」でした。しかし、イラネッチケーを取り付けたテレビを巡る裁判では、NHK受信契約が必要という判決が出され続けているのです。


イラネッチケーでNHK受信契約は拒否できるのか


イラネッチケーでNHKの周波数カット

イラネッチケーとは、NHKテレビ放送の周波数帯だけをカットするフィルターで、NHK受信料制度に批判的な筑波大学准教授が2014年に開発したものです。イラネッチケーをテレビとアンテナの間に接続することで、NHKのテレビ放送が視聴できなくなるため「NHK受信契約が不要になるのでは?」というのが開発の狙いでした。

その仕組み上、イラネッチケーは関東広域・関西広域など各放送エリアのNHKチャンネルに対応したものが必要になるほか、BS放送についてはチャンネル編成が変更されるたびに、新チャンネル用のモデルが販売されてきました。

ところが、イラネッチケーを取り付けたことを理由にNHK受信契約を解約、あるいは受信契約が不要だとして視聴者側からNHKと争った裁判は、いまのところ視聴者側の敗訴が続いています。

イラネッチケー関連で最初に出された判決は、イラネッチケーを単にアンテナケーブルとテレビの間に取り付けた状態に関するものでした。2016年7月に東京地裁が出した判断は、イラネッチケーの着脱自体は視聴者側が簡単に行えるため、NHKのテレビ放送が受信できない状態とはいえず受信契約は必要という内容でした。


イラネッチケーを基板に固めても敗訴

その後、イラネッチケーを溶接するなど、さまざまな状態についてNHKと視聴者側で裁判が行われたものの、いずれも視聴者側が敗訴。なかでも、イラネッチケーをテレビ基板に溶接したうえで、エポキシ樹脂で基板上を固めてしまい、取り外すとテレビ自体が壊れる状態にしてNHKと争ったケースは注目を集めました。

この裁判では、NHK側もイラネッチケーの着脱で争うだけでは勝てないと考えたため、「ブースターを取り付ければNHKのテレビ放送も映る」という主張を展開。しかし、1審の東京地裁はこのイラネッチケー内蔵テレビをNHKのテレビ放送を受信できる装置とはいえないと判断して、NHK受信契約は不要としました。

ところが、2021年2月に東京高裁が出した控訴審の判決では一転してNHK側が勝訴となり、視聴者側にNHK受信契約を結ぶことを求める判決となってしまいました。東京高裁がこのように判断した理由は、ブースター自体は市販されているため容易に入手可能で、それを取り付ければNHKのテレビ放送が映るというものです。

東京高裁の判決を受けて、視聴者側は最高裁へ上告したものの、最高裁はこれを受理せず東京高裁の判決が確定しています。そのため、今後イラネッチケー同様に物理的なフィルターを使いNHKのみ映らなくするという手法では、NHK受信契約を拒否することは難しいといえるでしょう。

■「イラネッチケー」おすすめ記事
イラネッチケー裁判でのNHK受信契約の争点を解説

■「NHK契約」おすすめ記事
NHK受信料を衛星契約から地上契約のみに変更する方法
NHKは衛星契約しないとどうなる?答えは差額の割増金
NHK未契約は無視するのが訪問員や郵便物への正しい対処法
NHK家族割引の裏ワザで受信料を半額にする方法
NHK解約の裏ワザで手続きをスムーズに進める方法
NHK解約を引越しのタイミングで成功させる裏ワザ
NHKプラスは登録しないで見る方法はあるのか?
NHK受信料の断り方ではカーナビやスマホ所持を訪問員に知らせない
ケーブルテレビ(CATV)のNHK受信料の断り方とは?

The following two tabs change content below.

ラジオライフ編集部

ラジオライフ編集部三才ブックス
モノ・コトのカラクリを解明する月刊誌『ラジオライフ』は、ディープな情報を追求するアキバ系電脳マガジンです。 ■編集部ブログはこちら→https://www.sansaibooks.co.jp/category/rl

この記事にコメントする

あわせて読みたい記事

  • NHKだけ受信不能にする「イラネッチケー」とは
    NHKだけ受信不能にする「イラネッチケー」とは
  • NHK受信契約の管理システムの意外な名前とは?
    NHK受信契約の管理システムの意外な名前とは?
  • NHK集金人を自宅へ呼び込む危険な手続きとは?
    NHK集金人を自宅へ呼び込む危険な手続きとは?
  • 最高裁でも棄却されたNHKのトンデモ主張とは?
    最高裁でも棄却されたNHKのトンデモ主張とは?

  • オススメ記事

    逮捕者も出た「モザイク破壊」とはどんな技術?

    2021年10月、ついに「モザイク破壊」に関する事件で逮捕者が出ました。京都府警サイバー犯罪対策課と右京署は、人工知能(AI)技術を悪用してアダルト動画(AV)のモザイクを除去したように改変し[…続きを読む]

    LINEのトーク内容を盗み見する方法とその防衛策

    圧倒的ユーザー数を誇るLINEは当然、秘密の連絡にも使われます。LINEの会話は探偵が重点調査対象とするものの1つです。そこで、探偵がLINEの会話を盗み見する盗聴&盗撮テクニックを見ていくと[…続きを読む]

    盗聴はアプリを入れればできる

    盗聴器といえば、自宅や会社など目的の場所に直接仕掛ける電波式盗聴器が主流でした。しかし、スマホ、タブレットPCなどのモバイル機器が普及した現在、それらの端末を利用した「盗聴器アプリ」が急増して[…続きを読む]

    チョコボールのエンゼルを見分ける方法

    おもちゃの缶詰は、森永製菓「チョコボール」の当たりである“銀のエンゼル”を5枚集めるともらえる景品。このおもちゃの缶詰をもらうために、チョコボール銀のエンゼルの当たり確率と見分け方を紹介しまし[…続きを読む]

    空き巣被害に遭いやすい住宅の特徴と正しい防犯対策

    窃盗事件の大半を占めているのが「空き巣」。しかも、空き巣被害の半分以上は住宅が狙われたものです。アナタの家も知らぬ間に泥棒たちに目を付けられている空き巣被害の予備軍かもしれません。空き巣被害に[…続きを読む]