NHK受信料の割増金は衛星契約と地上契約の両方払う?
NHK受信契約は、放送法の規定によりNHKのテレビ放送を受信できる設備を設置した場合に結ぶ義務が発生します。さらに、2023年4月から施行される新しい受信契約には、NHKと受信契約を結ぶための期限が明記されました。そして、この期限内に契約しなかったケースに正規のNHK受信料の2倍の割増金が適用されることも決まったのです。BS受信可能と知らずNHK受信料が地上契約のままの場合、割増金は衛星契約も両方払うことになるのでしょうか。
NHK受信料の割増金は衛星契約と地上契約の両方払うか
新しいNHK受信契約では、さらにNHKのBS放送が受信できる設備があるにもかかわらず、受信料を衛星契約を結ばずに地上契約を継続していた場合も、割増金の対象となることになりました。
NHK受信料を地上契約から衛星契約に変更しない場合の割増金の対象となる期間は、BS放送が受信できる設備をなどを設置した翌月から新たな受信契約を結んだ前月まで。テレビを受信できる設備を設置したにもかかわらず、NHKと受信契約を結ばない場合と同様です。
例えば、地上契約を結んでいる人が2023年4月にBSアンテナを設置したものの、衛星契約に変更するのが8月に遅れた場合、割増金の対象は2023年5月~7月分の3か月分。現在のNHK受信料は地上契約が月1275円、衛星契約が月2220円のため、差額の945円の2倍が割増金となります(請求書払いで2か月ごと支払う場合)。NHK受信料の割増金は、衛星契約と地上契約の両方払うことにはなりません。
NHK受信料は地上波/BS両方が1本は地上契約から衛星契約
ここで問題になるのは、BS放送が受信できる環境であることを住人が知らずにNHK受信料を地上契約から衛星契約に変更していない場合です。例えば、地上波とBS放送の両方を1本のケーブルにまとめて各戸に再送信しているマンションで、そのことを知らずにBS対応のテレビに地上波のケーブルのみ接続して視聴しているといったケースは、NHK受信料を地上契約から衛星契約に変更しないことが十分考えられます。
NHKはこうした地上波とBS放送の両方を1本のケーブルにまとめている場合についても、BS/地上波分離器などを設置することでBS放送が容易に視聴可能なことから受信料は地上契約ではなく衛星契約が必要という立場です。しかし、地上波ケーブルのみ接続して視聴している世帯はそもそもBS放送を視聴する意思がないともいえ、マンション側の都合でNHK受信料を地上契約から衛星契約に変更させられるという話にもつながります。
このことは、「受動喫煙」になぞらえ「受動受信」として国会でもたびたび取り上げられてきました。しかし、NHK側は国会答弁で「検討を進めたい」としながらも対応は進んでいません。NHK受信料への割増金導入をきっかけに、NHK側も受動受信についてなんらかの対応が迫られる可能性があるでしょう。
NHK受信料の割増金は衛星契約と地上契約の両方払うかに判決
そして、NHKの報道資料によると2024年3月14日、東京地方裁判所でNHKの請求を認める判決が言い渡されました。この判決では、受信料(42,180円)のほかに割増金制度導入後の2023年4月以降の期間についての割増金(26,640円)の請求が認められたのです。
この裁判は、2023年11月6日に東京都内の3世帯に対して、受信契約・受信料および割増金の支払いを求める民事訴訟をNHKが提起したもの。このうち1世帯についての判決が出たというわけ。NHK衛星契約しないとどうなるかに関して裁判所による判断が出たのは初めてです。
NHK受信料の割増金は衛星契約と地上契約の両方払うかについてを、今回の請求金額から逆算してみました。すると、今回の判決の対象となったのは衛星契約と地上契約の両方ではなく、衛星契約のみと推測可能です。割増金の請求額26,640円は旧NHK受信料の継続振込の衛星契約の月額2,220円の2倍4,440円の6か月分です。
NHK受信料の割増金は衛星契約と地上契約の両方払うか計算
一方、NHK受信料の割増金は衛星契約と地上契約の両方払うかについて、受信料の請求額42,180円を逆算してみると、旧NHK受信料の継続振込の衛星契約の月額2,220円の19か月分に相当。割増金の対象となった2023年4月以降の6か月分と、それ以前の13か月分の未契約分の衛星契約のNHK受信料が請求されていると計算できます。
今回の判決に至る経緯として「本件世帯に対しては、契約締結をお願いする文書の送付や電話・訪問などにより誠心誠意説明し丁寧な対応を重ねてまいりましたが、契約締結に応じていただけなかったために、やむを得ず最後の手段として、割増金の請求を含む民事訴訟を提起し、本日の判決に至りました」と裏事情を説明しています。
判決を受けてNHKは「今後も、受信契約についての理解を得るため最大限努力するとともに、割増金制度の適切な運用に努め、受信料を公平に負担していただくための取り組みをすすめてまいります」とコメントしています。
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ラジオライフ編集部
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