盗難車「ハーフカット」「ノーズカット」とは?
中古車輸出の手続を見れば、盗難車を海外に持ち出すのは極めて困難です。しかし、盗難車を分解してパーツにすると話は違ってきます。パーツには個体番号が無いので、盗難品との区別がつかないからです。盗難車のパーツが海外へ輸出されるルートと手口を見ていきましょう。
より多くの盗難車のパーツをバン詰め
パーツを正規に輸出する際は、どのクルマのどのパーツを何個輸出するのか、1点1点詳細を記して通関しなくてはなりません。コンテナに積み込んだ(バン詰めした)中古車の隙間に、パーツを入れる程度なら少数ですが、コンテナの中身がすべてパーツになった場合、その数は膨大になります。
それは盗難車の車体を半分に切断する「ハーフカット」やダッシュボードで切る「ノーズカット」が行われ、パズルのようにより多くの部品をバン詰めするから。同じ輸送費を払うなら、1つでも多くのパーツを送りたいのです。
一般的に中古車の輸出は、全長約12mの「40フィートコンテナ」で行われます。40フィートコンテナには、ワイヤーで吊り下げることで乗用車5~6台の積み込みが可能。そして隙間という隙間にパーツを押し込むことは多々あるのです。
盗難車を保管・解体して輸出する温床
それでは、大量の盗難車のパーツのバン詰めは、どこで行われているのでしょうか。横浜港や川崎港からの出港であれば、国道16号線以北に多い自動車解体屋。パーツの供給元で積み込むのが効率がいいからです。
ヤードと呼ばれる自動車解体屋は、騒音対策や倒壊防止のため、敷地を高いフェンスで囲っています。なので、中で何をしているのか外部からは見えません。この環境が、盗難車を保管・解体して輸出する温床になっているといわれています。
盗難車のパーツの多くは、UAEのドバイに輸出されているはずです。ここには中古車特区「DAZ」があり、クルマの輸出入に関する規制が緩く、関税もありません。
さらにはパーツ店も多く、パーツからクルマを組み上げたり、左ハンドル仕様に改造する工場もあります。盗難車のパーツから再生された日本車が、ここから他国へと輸出されていくのです。
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ラジオライフ編集部
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