「90年代スポーツカー」いま盗難で狙われる理由
今、90年代に人気を博したスポーツカーの盗難が相次いでいます。その代表格といえるのが日産・S15シルビアです。なぜシルビアの盗難が相次いでいるのかといえば、改造パーツが高値で取引されているため。盗難されたシルビアは分解され、改造パーツとして流通しているのでした。その手口を見ていきましょう。

セキュリティシステムが貧弱なクルマ
10年ほど前から、ドリフト走行が楽しめる90年代の後輪駆動のスポーツカーが大人気です。中でも「S15シルビア」はその代表格ともいえる存在。クラッシュしたり、酷使されるので、交換用のエンジンや外装品、足回りなどの改造パーツは高値で取引されています。
そのため、相次いでいるのがシルビアの盗難です。クルマの改造業者によると「盗難されたシルビアは分解され、特に改造パーツは国内で流通しているケースが多いのでは?」といいます。
じつは90年代のクルマはセキュリティシステムが貧弱です。ピッキングでドアロックを解錠して、イグニッションスイッチを破錠すれば、エンジンが始動します。
ドアロック解錠工具も販売されている
また、古いクルマのドアロックは外から針金を入れて解錠できることも盗難で狙われやすい理由の1つです。ドアと窓の間にエアークッションを入れて、スキ間を作っていくオーソドックスな盗難手口が通用してしまいます。
とくにスポーツカーは窓枠が無いので、簡単にスキ間ができてしまうのも問題。実際、通販サイトのAmazonでは「ドアロック解除補助工具」が売れられています。ドアと窓の間に入れたエアークッションで広げたスキ間から、太めの針金を入れていくのが常套手段です。
分解することを前提にクルマを盗難する場合、緊急脱出用ハンマーでガラスを割ってドアを開けるという乱暴な手口も横行。90年代のスポーツカーに乗っている人は、ハンドルロックやホイールロックなど、物理的に車両を動かなくする盗難対策をとっておいたほうがよいでしょう。